『魔女メガンの弟子 下 エリアナンの魔女2』

エリアナンの魔女2 魔女メガンの弟子(下) (エリアナンの魔女 2)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198631093


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読了。

魔術師と魔女のいる異世界(惑星?)を舞台に、異種族間の争いのなかで翻弄される若者たちとかれらを導く賢者たちの活躍を描く、古代スコットランド風ファンタジー、シリーズ第一部の下巻。

上巻の感想で、別の次元に移っただけで別惑星に移住したわけじゃないと思いますー、なんて書いてしまいましたが、嘘でした。というか大間違いでした。

これ、ほんとうに惑星移民の話だった!

ということは、古代スコットランド文化を保ったまま星間航行の出来る宇宙船を持ってたらしい、〈獅子心王クイン〉率いる人たちって、どういう人たちなんだろう?

〈大横断(グレート・クロッシング)〉ってワープ航法みたいだけど、それを実現したのは魔術なのだろうか。とすると、それはもう地球の古代スコットランド人ではないよね。きっとかれらは異世界でたまたま古代スコットランド風文化を持っていた人びとで、とてつもなく発達した魔術をもってたってことなんだろう。

で、移住した先の惑星にたまたま棲んでいた異種族たちが、たまたま古代スコットランドのあやかし風の特色と文化を持っていて、かれらとの異種族間の争いを根底にした王権争いが古代スコットランド風に継続してる、ってことなのか。

ややこしや……(汗。

しかし、こんな七面倒くさいことをいちいち考えるのは、おそらくわたしくらいのものでしょう。
考えなくても、いや、考えないほうがお話は楽しめます、それはもう十分に。

面白いです、この話!

上巻では、老魔女の孤軍奮闘と彼女に育てられた少女イサボーの無謀な冒険を軸に、エリアナンの人間たちを統べるマックイン王家の衰弱と、女王(バンリー)マヤの専横による魔女や魔法生物たちへの迫害の歴史ときびしい現状があきらかにされました。

下巻では、老魔女メガンとイサボーの双子の姉妹イズールトが反マヤ勢力の筆頭〈足弱〉と合流し、さらにエリアナンにも魔法勢力にも組みしない勢力の登場に、妖術師マヤの事情が明かされるなど、物語は怒濤のごとく進んでいきます。

最近、翻訳物ファンタジーも展開が速くなったような気がするなー。
作者さん、『クシエルの矢』の作者さんと世代がほぼ一緒なんですよね。関係があるのかな。

設定にこだわらなければ、基本的にケルトっぽい剣と魔法のオーソドックスな歴史冒険譚なので、この手の話を読みつけた人なら物語世界に順応しやすいと思います。

異色なのは、若者ではなく、老魔女と老賢者が大活躍することw
メガンは上巻でも存在感抜群でしたが、下巻では盲目の見者ジョーグが使い魔のカラスをしたがえての大奮闘です。

いっぽう、主役のはずのイサボーと双子の姉妹イズールト、〈足弱〉バケーシュは、いかにも若く未熟な、まだまだ導きを要するこれからのひとびととして描かれています。
これがぜんぜん苦にならないのはわたしが老人視点で読んでいたからか。

わたしが歳を食ったからなのか、そう読めるように書いてあるのかはわかりませんが、本来ならばいるはずの親世代がすぽっと抜けているので、老体に鞭うたねばならないご老人の苦労が偲ばれます。

ご老人たちが若者を孫のように見ているから、厳しい指導を下しつつもその未熟さを愛おしくおもう気持ちが伝わってくるのかなあと思ったり。

それと、メガンが〈獣司〉であることから発展する、動物たちのあれこれも楽しいです。
そういえば、イサボーも動物の言葉が少しわかるのですよね。
彼女が偶然出会ったお馬さんが意外に活躍してくれるのですが、これがかわいくてかわいくてw

わりとスピーディーに進んでいく話なのに、けっこういろいろと描写はこまやかで、異世界の濃密な大気と風の匂いにつつまれるような雰囲気があるのも魅力ですねー。


第二部上巻が待ち遠しいです。タイトルからするとバケーシュが化けるのか?(苦笑
書店にはもう出ているかな。

エリアナンの魔女3 黒き翼の王(上) (エリアナンの魔女 3)
ケイト・フォーサイス 井辻 朱美
4198631204

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