『レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士』

レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士 (B’s‐LOG文庫)
栗原 ちひろ 明咲 トウル
4757749465


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いただいて読了。

科学文明崩壊後の世界を舞台に、恋をすると人間になる人形と人間たちの恋を描く、ロマンティックファンタジー。シリーズ二冊目。


クリステルは十五歳。生まれた時から美しい青年ヴィリと二人きり、おおきな館の中だけで暮らしてきた。クリステルのお気に入りは図書室とそこにあるたくさんの蔵書を読みふけること。とくに紫色の絵本は彼女の宝物だ。クリステルは外の世界を知らないが、その絵本を声に出して読んでいると世界が広がっていくような気がするのだ。ある日、ヴィリが買い物に出たあとで、館に見知らぬ青年が訪ねてきた。墓守のルカと名乗る青年はクリステルの存在に驚き、円環都市の領主の娘だという彼女の主張にまた驚く。円環都市は死滅し、いまは廃園都市と呼ばれている、それはもう三十年も前のことだと聞かされて混乱するクリステル。そこに帰還したヴィリは、ルカのもった人形を破壊する「滅びの鍵」によってくずおれる。ヴィリはかつての技術の生みだした精巧な人形だったのだ。クリステルはルカを護衛として雇い、ヴィリを修理できるという人形師のいる街、水葬都市をめざして旅立つことにする。



人形の設定がなければ十分にSFな物語世界で描かれる、ラヴなファンタジーシリーズの二冊目です。

今回は視点人物が人間の女の子だったせいか、すんなりと感情移入して読むことが出来ました。
面白かったですw

大切に大切にかこわれてそだてられたクリステルが、籠の中から飛び出してであう外の広い世界。
純粋な好奇心の眼に映る世界の鮮やかさと、多様さ、複雑さ。
様々な人物に出会い、困難に陥りながらも、みずからの力で脱していこうとする前向きな精神。

命令を遂行することが存在意義ゆえに、そこに生まれようとする自分の意志を抑え込もうとするほどに混乱していく、ヴィリの葛藤。

後ろ向きな世界に失望しつつも見捨てられない、希望を見いだしたいと願うルカ。

円環都市の死滅の謎や、そこに眠る宝をめぐる陰謀を描きながらも、あたたかくすがすがしい気持ちになれるお話でした。

前巻「水葬王と銀朱の乙女」の登場人物もちらりと登場して、物語世界の視界がひらけてきた感じです。

「オペラ・シリーズ」に少し似ている、爛熟の末に滅びゆく世界の退廃した雰囲気を描く硬質で華麗な筆さばきが素敵。
食べ物やドレスや建物の内装の描写がひじょうに細やかで、書き手のこだわりを感じました。

表現に常套句が多いのが気になってきましたが、これだけたくさんの本を書かれているのでしかたないのかもしれない。

わたしには当たり外れの多い作家さんですが、今回は当たり。
どこで見極めればいいのかは、まだわかりませんw

シリーズはつぎも出ている模様です。

レプリカ・ガーデン 時無しの人形師と人形の女王 (B’s‐LOG文庫)
栗原ちひろ 明咲トウル
4047261939

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