『ミストクローク 霧の羽衣 1 新たな救い手』

ミストクローク ―霧の羽衣― 1 新たな救い手 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-9)
ブランドン・サンダースン 竹井
4150205213


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読了。

合理的な魔術がユニークな異世界波瀾万丈アクションファンタジーシリーズ、『ミストボーン』から始まる三部作の第三部開幕編。


支配王を打倒し〈終の帝国〉崩壊後の試練を乗り越えたものの、〈即位の泉〉から悪意を持つ巨大な悪しき力が解放されて世界は終末を迎えつつあった。降灰はつづき、作物は育たない。コロス軍は村々を襲い、霧は直接ひとびとを殺すようになった。新皇帝となったエレンドは民を保護し救うため、支配王の貯蔵庫を求めて、帝国全土を旅していた。貯蔵庫には支配王の蓄え残した物資と終末に対抗するためのなにかが残されているというのが、かれらの見解だ。先の見えない不安の中、帝国内では革命を指揮し、死によって先鞭をつけた盗賊ケルシャーを崇める“生き残り教団”がじわじわと広がりはじめていた。




個性的な登場人物たちによるドラマティックな展開に、システマティックな合金術の面白さと、それによって生み出される切れ味のよいアクション。

緻密に設定された物語世界の激動の歴史的転換点をえがく、壮大なエピックファンタジーです。

面白いです!!!

片時も停滞していないスピーディーな展開なのに、浅はかさを少しも感じさせない、作り込まれた設定がすべて物語と人物に生きているのがすごい。

ヒロインのヴィンも、ヒーローのエレンドも、ものすごい勢いで変化し成長してる。
第一部のかれらを思い出すと、遠くへ来たなあと思います。

第三部では、第二部でヴィンが解き放ってしまった巨大な悪しき力との戦いと、終末へ向かいつつある世界での生き残りを模索するヴィンをふくめた仲間たちの姿が描かれます。

ここでかれらが打倒した支配王がその支配期間に実は何を意図し何をしていたのかがあきらかになります。
そして支配王の遺産に現状打開の鍵を求めることになる。皮肉です。

破壊神と深き闇、霧の正体、カンドラの秘密、霧の落とし子の存在意味、スプークの出会った声の正体。
世界の謎はいまだすべてあきらかにはならず、意味深にすこしずつ提示される断片に身もだえしました。すっかり作者の思うつぼです。

謎解きだけでなく、単身敵地に乗り込んだスプークのスリルとサスペンスとか、信ずるものを失ったセイズドの孤独と苦悩とか、変わり身族カンドラで掟を破ったテン・スーンの精神的な変革とか、読みどころは満載w

中軸であるエレンドとヴィンの物語を支える脇筋の豊かさが、物語世界を幾層にも深め、視野を広げ、壮大な世界を実感させてくれます。

第一部は抑圧的な支配者を倒す、理想に燃える革命の物語。
第二部は崩壊した秩序を回復するために、現実と向かいあう物語でした。

第三部は、先の見えない状況で現実的な判断を下しつつ、なお理想を求める物語、になるのかなー。

かつてのヴェンチャー家の領土ウルトーのまるで共産主義な全体主義的状況が面白い。
合金術にもあらたな展開が出てきたし、不気味な鋼の尋問官たちの血金術とやらの詳細も知りたいです。

とにかく、はやくつづきを読みたい、読ませてください、とお願いしたくなる。
……はやく予約しよう(汗

ミストクローク―霧の羽衣― 2古からの声 (ハヤカワ文庫FT)
ブランドン・サンダースン 竹井
4150205248

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