『クシエルの使徒 2 白鳥の女王』

クシエルの使徒〈2〉白鳥の女王 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205108


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読了。

中世ヨーロッパを模した異世界で、高級娼婦兼スパイとして育ったヒロインが使命感から政権争いに積極的に関わっていく、波瀾万丈な宮廷陰謀ロマン。シリーズ第二部の第二巻。

うはーー、なんというジェットコースター展開!

前巻でテールダンジュ宮廷でのスパイ活動を開始したフェードルは、今度ははるばるラ・セレニッシマでの調査に乗りだし、そこでまた当地での権力闘争に巻き込まれます。

ラ・セレニッシマのモデルはヴェネツィア共和国でしょうね。
ここに食い込んでいくために、テールダンジュで出会ったラ・セレニッシマ頭領の息子でテールダンジュ王子の息子セヴェリオがとっかかりになります。

このセヴェリオとかれの取り巻きたちのなんとラテンなこと。
未婚の娘と母親を賛美する(しかし妻は虐げる)、陽気なラテン気質全開でフェードルにつきまとい、ジョスランの神経を逆撫でしつづけます(苦笑。

表では陽気なのに裏では駆け引きと裏切りばかりという、なんとも感情的で濃密でしつこい社会の雰囲気を読んでいて、「ロミオとジュリエット」ってこんなところが舞台のはなしなんだなー。それならなんでも衝動的にやっちゃうのも無理ないかも、と思いましたw

ラ・セレニッシマでは現頭領が死に瀕していて、次期の座をめぐっての争いが激化しています。

そんななかでメリザンドの消息を追うフェードルたちは腹を探られ、不信感をもたれて遠ざけられ、となかなか目的にたどりつけません。

しかも、旅の前から険悪だったジョスランとの仲はこじれにこじれて、フェードルのあたまも飽和寸前。

忠実な騎士“フェードルの野郎ども”の献身に支えられてなんとか責務を遂行しようとするところ、さまざまなアクシデントが彼女たちを見舞います。

そして……!

ネタバレになってしまうので自重自重。

とにかく緊張のつづく展開で、どこに落とし穴があるかわからない。というのはわかってたんですけど、なんど心の中で悲鳴をあげたことか。息も絶え絶えになりながら、どこにいくのかわからない物語に押し流されていく読書体験です。

この波瀾万丈状態、ちょっと「流血女神伝」を彷彿とするなー。

でもカリエのお伴だったエドのゆるぎなさに比べ、フェードルを守る誓いを立てたはずのジョスランのグラグラっぷりときたら。
愛すべきぐらぐらなんだけど、ぜんぜん任務を果たしてないし頼りになってないw
むしろフェードルの心痛のタネというw

このあたりに少女向けとの違いがあるのかなあと感じました。

さらにラ・セレニッシマの信仰とか日常生活とか社会とかがしっかりと物語に絡んできて、その土地ならではの雰囲気を醸し出しているところも読みどころです。

しまいにはセレニッシマ以外にも世界が広がり、このつぎはエルを信仰するひとびとが出てこないなーと期待がひろがりました。

(もしかして、それがムスリムだったりするとすごく面白いんだけどとは、個人的な期待です)

二巻もまた「ええええっ! このあとどうなるの!?」というところで終わってしまったので、三巻を手にするのがとても待ち遠しいです。

余談。
前巻のアレはやっぱりフラグだったw

さらに余談。
サブタイトルの御方の近況を知りたいですw

クシエルの使徒〈3〉罪人たちの迷宮 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205132

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