『クシエルの啓示 1 流浪の王子』

クシエルの啓示〈1〉流浪の王子 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205167


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読了。

大胆な設定の中世ヨーロッパ風異世界で、高級娼婦兼スパイの訓練を受けたヒロインが政治的な陰謀の中をくぐり抜けていく、波瀾万丈歴史ロマン。三部作の完結編第一巻。


約束された平穏な十年が過ぎた。唯一神に反抗した天使の裔との契約により絶海の孤島に縛りつけられている幼なじみのヒアシンスの嘆きに、フェードルは毎夜うなされるようになった。ヒアシンスを解放するためには唯一神の真名を知らねばならない。探索は根気よくつづけていたが手がかりは無いに等しかった。そんなおり、ヒアシンスのいる三姉妹島を望むアザール州から異変の報せが届く。真相を確かめに向かったフェードルたちは、ついに早瀬の主がみまかり、ヒアシンスが跡を継いだという事実を知る。絶望するヒアシンスの姿に衝撃をうけたフェードルの元に、幽閉の謀反人メリザンドからの手紙が届いた。




ぎゃーーー、何という展開!!!

第二部から十年の月日が経ち、平和な時間を満喫していたテールダンジュとフェードル。
しかしフェードルの心にはもっとも古くからの友ツィンガンのヒアシンスのことが離れずにいた。
イェシュト教徒のラビの元で研鑽を積むうちに判明したのは、早瀬の主を呪いから解放するには、唯一神の秘された真名が不可欠であるということのみだった。

というのが発端で、その後、どれだけ手を尽くしても得られなかった手がかりが思いもよらない場所から、思いもよらないことをすることとひきかえに差しだされることになり、まったく別のふたつの件がしだいに絡み合い、ひとつの方向へとフェードルたちを導いて、彼女たちはとうとう海を渡ってアフリカ大陸(とは書いてないけど;)へ赴くことになります。

面白いのは、今回メリザンドが話の初めから姿をあらわして、さまざまな感情をさらけ出してくれるところです。
これまではいつも黒幕で、最後の最後まで名前だけで読み手をビビらせてくれていたメリザンドの、意外なあれこれが、ものすごーく興味深い。

事の発端はヒアシンスなのに、メリザンドを愛し憎み愛するフェードルの感情の強烈さを読むと、彼女の動機は絶対にメリザンドだなと、思ってしまっても無理はないでしょう。キャシリーヌのわんこが気をもむのもむべなるかなです。

ジョスランといえば、かれの成長には目を瞠りました。すっかり大人になってるわー。もう三十路だもんな、そりゃそうか。
ニコラ・ド・ランヴェールに「練れてきたじゃない」などといわれるのはちと可哀想だと思いましたが、でもたしかにその通りだと思いました。
やはり、「使徒」のクライマックスでふっきれたのがよかったんでしょうね。あの台詞はまだ覚えてます。とても印象深かったのでw

それから、ショヴァールはジョスランの実家ヴェルーユ家のみなさんのご登場も楽しかったw
大家族の中のジョスランの姿がほほえましかったです。

そうじて、ジョスラン関係はとても楽しく読んでて嬉しかったです。
アハハ←なぜか笑いがw

そんなほのぼの雰囲気はつかの間で、話そのものはどんどん悲惨な方向に進んでいくのですが、新たに登場する南方の諸国がいろいろとへええな感じでした。

古代エジプトと、イスラーム抜きのウマイヤ朝みたいなウマイヤートと、新アッカドを名乗ってるのにゾロアスター教徒みたいなケベル・イム・アッカドとと、まさに歴史のいいとこ取りなラインナップです。

それからジェベ・バルカルに謎のドルージャン。

「もしかしてプレスター・ジョンの王国がでてくるの?」という勝手な期待は、あっさりうっちゃられましたと報告しておきます。

五里霧中の異国での、フェードルの観察力と語学力を駆使した有能さが遺憾なく発揮されたこの巻。つづきではジョスランの心臓を疲弊させるアングィセットとしての活躍が待っているのでしょうか。

ものすごく気になるところで「待てつづき」状態なので、妄想ばかりが膨らみ困っておりますw


クシエルの啓示〈2〉灼熱の聖地 (ハヤカワ文庫FT)
ジャクリーン ケアリー Jacqueline Carey
4150205191

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