『羽州ものがたり』

羽州ものがたり (カドカワ銀のさじシリーズ)
菅野 雪虫 遠田 志帆
4048741683


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読了。

平安時代の出羽の国・羽州で起きた元慶の乱を、土地育ちの少女と少年、都育ちの少年の交流とともに描く、歴史小説。


貞観十五年。片眼の鷹アキとともに暮らすムメは村長の長女だが、暮らしは豊かではなく、日々家事に追われて過ごしていた。彼女の友人は森に棲み変人と呼ばれる少年カラスだけだ。そんなおり、ふたりは都からきたばかりの少年・春名丸が川でおぼれかけたのを救った。少年の父親・小野春風は羽州に理解のある都人で、息子の命の恩人としてムメとカラスを迎え入れた。ムメは春風の屋敷で都の風物を眼にし、知らない世界への憧れを持つ。



『天山の巫女ソニン』シリーズの作者さんの新刊です。
今回は異世界ではなく、日本が舞台の歴史もの。

具体的な地名や歴史上の人物などが出てきて一気に具体性を増している物語世界。
かなり殺伐とした出来事を題材にとっていますが、作者さん独特のおだやかというか優しげでありながらゆきとどいた視線で描かれるおはなしがここちよかったです。

どの立場の人にもそれぞれに事情があることや、すべてが丸く収まるような解決方法はないことも、子ども向けにごまかしたりせずに、きちんと見すえて描いたうえで、よりよい道を探っていく展開が、共感できるし納得できる。

努力がむくわれなくとも心には善いものが残るような、最善ではなくてもすこしはましになっていくような、そんなお話がいまは心地よいのです。救われます。

『ソニン』のときとかわらず、恋愛色はほとんどゼロですが(苦笑)、ムメはともかく男の子たちふたりの心にはいろいろとありそうな描写に、ニヤニヤすることが出来ましたw

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