『メキト・ベス漂流記 背中の紅い星』

メキト・ベス漂流記 背中の紅い星 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ 橋 賢亀
4048741713


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読了。

「暁と黄昏の間」の著者の躍動感あふれる少年少女の海洋冒険ファンタジー。


南海に浮かぶ孤島ダルキースは貧しい土地で生き抜くために厳しい掟が支配している。ダルキースで生まれ育った少年ナオは、外の世界に憧れていた。親たちの住む家船から離れ、島主ダルキースの下屋敷で優等生のエマを始めとした他の子どもたちと寝起きをともにしていたある日、ナオ達は不思議な姿をした青年が浜に打ち上げられているのを発見する。月色の瞳をした青年がただひとつ口にする言葉からメキト・ベスと名づけた子どもたちは、こっそりとかれをかくまいはじめた。



現実とは異なる物語世界を創造し、命を吹き込むこと。
鮮やかに描き出された世界の出来事をストイックに追いかけて、波瀾万丈の出来事を物語ること。

「暁と黄昏の間」シリーズを読んでそうしたことが得意な書き手さんだなあという印象を受けていましたが、この新作もまた、登場人物のいる世界が目の前に広がっているような心地にさせてくれるお話です。

今回の舞台は海。
タイトルからもわかりますが、十代半ばの主人公の少年少女は生まれ育った小島から広い世界へ、大海原へと放り出されて、目標も目的も考える間もなく、厳しい現実に翻弄されていきます。

設定の厳しさもハードな展開も、前作そのままで、じつにストイックでタイト。
物語にすべてを奉仕していく文章が、それでもすこしずつ明らかにしていく登場人物達の背景や性格がじつに地に着いていて、緊張感たっぷりな物語でした。

話の中心は、少年少女が「メキト・ベス」と名づけた青年。
一見子どもとしか思えない行動をするけれど、じつは不思議な力を持つかれの存在と行為が、物語にきな臭い風を運んできます。

大海原を舞台にそこに棲息する生き物たちの彩り豊かな生態と、大自然の中で生きていくことの厳しさのみに囲まれて育った子どもたちが、人間社会の複雑さ・理不尽さに出会い、試行錯誤していく様は、成長物語の王道を予感させます。

……つまり、この話、この巻で終わってません;
しかし「つづく」とも書かれていません。

このはっきりしない仕様は、もしかしてつづきがあるのかないのかまだ決まってないよということなのでしょうか。
ものすごく気になるので絶対につづきを出して欲しいです。


個人的には、叩き上げのニール・ゴー船長がお気に入りですv


暁と黄昏の狭間〈1〉竜魚の書 (トクマ・ノベルズedge)
西魚 リツコ D-SUZUKI
4198507740

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