『ボヘミアの不思議(ワンダー)キャビネット』

ボヘミアの不思議キャビネット (創元推理文庫)
マリー・ルツコスキ 圷 香織
4488556027


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読了。

魔法の盛んな十七世紀のボヘミアを舞台に十二歳の女の子の冒険を描く、ファンタジーシリーズ第一作。


人びとが日常的に魔法の才をもつ十七世紀ボヘミア。天才時計職人のミカルは、ボヘミアを治めるハプスブルク家の王子のもとで仕掛け時計を作りあげた後、両目をくりぬかれて帰宅した。王子は金属をあつかうミカルの才能に惚れ込み、ミカルの力の源泉を我がものにしようとしたのだ。ミカルの娘ペトラは、父親の両目を取り戻すため、友人でブリキのクモのアストフェルとともに無断で王子のいるサラマンダー城のある都プラハへと向かう。そこでペトラはジプシーと呼ばれるロマの少年に財布をすられてしまう。




面白かったです。

冒頭の父親帰還エピソードで度肝を抜かれましたが、童話のように生々しさがないのでそれ以降は児童文学といっていいくらいの雰囲気のお話でした。

十七世紀のプラハの魅力的なこと。
ジプシーと呼ばれて蔑視されるロマの人びとの生活の興味深いこと(たぶん厳密な事実ではないでしょうけれど)。
ロマの昔話の面白いこと。
十二歳のペトラの圧倒的な(笑)行動力と、彼女に文字通りくっついている思索的なブリキのクモ・アストフェルのチャーミングなこと。
みんなの嫌われ者の〈染織工房〉の主・アイリスのいじわるばあさんぶりw

さりげなく印象的な象←ポイント高しw

万能ではなく、個人がもてる特技の範囲を出ないささやかな魔法の、さまざまな個性的な作用が興味深いです。

児童ものっぽいと感じるのは、それらがそつなくまとめられて、きちんとひとつの物語に仕上げられているためかなと思います。

過剰なところがなく、けれど深読みすればいろいろと楽しめる、そういう小説だと思います。

とても楽しかったので、つづきもはやく読みたいですw

天球儀とイングランドの魔法使い (創元推理文庫)
マリー・ルツコスキ 圷 香織
4488556035



余談。
この本、著者のプロフィールが載ってないのが残念です。
著者あとがきにチェコ系のアメリカ人なのかなと推測される文章はあるけど、それだけ。
訳者あとがきにも何も触れていない。
本の仕様により翻訳者のプロフィールはいつもどおりに載ってるのにな。

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