『黒き翼の王 上 エリアナンの魔女3』

エリアナンの魔女3 黒き翼の王(上) (エリアナンの魔女 3)
ケイト・フォーサイス 井辻 朱美
4198631204


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読了。

古代ケルト風異世界を舞台に異種族間の争いを魔法を軸に描く、生と死、愛と憎しみのコントラストの印象的なファンタジー三部作の第二作、上巻。


移住者である〈十大氏族〉によって長らく支配されてきたエリアナンの地。現王ジャスパーの妃〈妖術師〉マヤによる魔女排斥政策により、魔法を持つものはすべて抹殺されてきた。魔女メガンはひそかに育んできた養い子イサボーと別れた後、ドラゴンとの会見の末にイサボーの双子の姉イズールトと出会う。また、イサボーによって救われた鳥の翼とかぎ爪を持つ若者バケーシュと合流した。いっぽう、〈見者〉ジョーグは癒しの手を持つ少年トーマスと、二人を救ってくれた浮浪児たちと行動をともにする。



第一部を読んだ時は主人公はイサボーと思ってたんだけど、どうやらこの話は群像劇のようです。
視点人物がどんどん変化し、つぎからつぎへと新しい人物が新しい舞台と一緒に現れるため混乱しますが、辛抱して読んでいると次第にエリアナン全体の状況がわかってくる一冊です。

まず、エリアナンの王ジャスパーの妃マヤ。
じつは、移住者である十大氏族にエリアナンの支配権を奪われた異形の先住者フェアジーンの先兵。
彼女は人間とフェアジーンの間に生まれて、強力な幻術と魅了の力を持っていて、人間を滅ぼすためにまず厄介な魔女を取り除くため、それを大々的に実行しているところ。
そしてフェアジーンはいまにも人間側に攻撃を仕掛けようとしているところ。

魔女達はマヤによって壊滅的な打撃を受けたけれどもまだしぶとく生きのびて、潜伏し、旅芸人などの姿で勢力回復のための機会を待ちつつ、体勢をととのえなおしているところ。

さらにエリアナンの他の十大氏族には、マヤに対抗する手段を整えているアランの女藩公マルグリッドや、身内を人質に取られてマヤの命令を聞かざるを得ない状況に陥っているルラッハとシアンタンの藩公がいる。

というところでしょうか。

状況はつかみにくいのですが、描かれる世界の大気密度の濃さ、暴力と死の冷たさ恐ろしさ、愛とともに描かれる生の生々しさ、温かさ、異形をふくめた生き物たちの存在感などがそこここにみちあふれていてすばらしく、すみずみまでしみこんだ魔法の気配にうっとりとしたかと思うと、残酷なシーンに身の毛がよだったりと、アップダウンの激しい物語展開に翻弄されて、いつのまにかぐぐっとひきこまれてしまうのでした。

残酷シーンはほんとうにここまで書くかと思うほどエグいので、苦手なかたは気をつけて、読まないほうがいいかもしれません。

この巻のそれは、第一部でのイサボーのシーンより酷かったです。

いっぽう、イズールトのエピソードには反対方向に驚かされました。

作者さん、愛と死、エロスとタナトス、反対のものを強調してそのコントラストの強さを印象づけたいのかな。

すこし、マリオン・ジマー・ブラッドリーを思い出す雰囲気です。

状況把握はすこし面倒くさいけど、わたしにとってはその面倒くささが面白さに繋がってるという面倒くささですね。

しかしここまでひろがった物語が三部作できれいに終わるのだろうか。もう半分は来てるはずなのに。ちと不安ですが、急加速してる気もするので案外大丈夫なのか。

読んでいて楽しいのは見者ジョーグと子どもたちのシーン。
それと、メガン婆さんの御年にはべっくらしましたw

つづきは予約中です。

エリアナンの魔女4 黒き翼の王(下) (エリアナンの魔女 4)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198631441

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