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『インカースロン 囚われの魔窟』

インカースロン ~囚われの魔窟
キャサリン・フィッシャー 井辻朱美
456204683X


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読了。

悲惨な現実に生きる者の星を見ることのできる外への渇望を描く、遠未来風地下監獄ファンタジー。


星の見えぬ世界〈監獄〉に暮らす少年フィンは、ならず者の集団〈兵団〉の中で〈義兄弟〉ケイロとともに明日をも知れぬ日々を送っていた。フィンには〈外〉の断片的な記憶があるが、思い出すと恐ろしい発作に襲われてしまう。皆が否定する〈小房生まれ〉の記憶を伝説の逃亡者サフィークに繋がる鍵と考える〈知者〉ギルダスは、フィンの見るヴィジョンを渇望する。隊長ジョーマンリックの命令で〈市民団〉を罠に陥れたフィンは、〈市民団〉の人質マエストラが、自分の手首の鳥の刺青に反応したことで情報を得るために彼女を救おうとする。いっぽう、外の世界では科学技術に制限が設けられ、ひとびとは〈アンジュー朝〉の生活様式を日常としていた。〈監獄〉の〈管理人〉のひとり娘クローディアは、父親に女王の第二王子カスパーとの婚儀を告げられる。粗暴なカスパーを嫌うクローディアは、死んだ第一王子ジャイルズが〈監獄〉にいるのではと疑っていた。父親がひたかくしにする〈監獄〉の秘密を、クローディアは家庭教師の〈知者〉ジェアドとともに探ろうとする。





閉塞感に満ちた貧しく劣悪で暴力のはびこる〈監獄〉世界と、明るく開けて豊かだけれど制限や規則にきつく縛られている〈外〉の対比が鮮烈なファンタジー。

面白かった……!
洞窟のような暗く閉じられた空間に魅せられる傾向のあるわたしには、たいへん楽しい本でした。

〈監獄〉の、陰気で暗い世界がどこまでもつづくような不気味さ(雲まである!)や、そこに様々な工夫や社会を築いて生きのびている人びとや、そこかしこに見られるかつての高度な技術などが、混じりあい、霧の中に見え隠れするようにあらわれる。

フィンの記憶の謎。
伝説の逃亡者の謎。
第一王子の死の謎。
〈監獄〉と〈外〉の関係の謎。

数々の謎を伏線に、〈監獄〉の少年達は“星の見える”世界を渇望し、進み続けます。

フィンをとりまく旅の一行がとても魅力的です。
フィンを〈星見人〉と期待する知者ギルダス。
ジョーマンリックの毒味犬だったアッティア。
とくにフィンの義兄弟のケイロの個性が強烈。ふだんその手の関係を思いつかないわたしですら、これは……と思ってしまった色気があります。

しかしわたしの一番のお気に入りは〈外〉側のクローディアに仕える病弱な知者ジェアドなのでしたw

クローディア側の話は政略結婚がメインかと思わせてじつは、てところで吃驚しました。

伝説のサフィークっていったいどういう人物だったんだろう……すごく知りたい。

と思ったら本書には続編があるそうで、そのタイトルは『サフィーク』だそうです。
うわ、これは読みたい、読まなくては。

ぜひぜひ、続編も翻訳刊行してもらいたいです。

ところで、あちこちに誤植が見うけられたのが残念でした。表紙カバーと標題紙の翻訳者名が間違ってる(井辻朱美が朱実になってる;)。表紙自体はカバーがとれないので(図書館の本なので)わからないんだけど、これは言語道断だと思う。ほかに本文にもいろいろと「あれ?」な個所がありました。素敵な本なのにな~。


同著者の別シリーズ。こちらにも地下がたくさん出てきます。
サソリの神〈1〉オラクル―巫女ミラニィの冒険 (サソリの神 (1))
キャサリン フィッシャー Catherine Fisher
4562038519

サソリの神〈2〉アルコン―神の化身アレクソスの“歌の泉”への旅 (サソリの神 (2))
キャサリン フィッシャー Catherine Fisher
4562038659

サソリの神〈3〉スカラベ―最後の戦いと大いなる秘密の力 (サソリの神 (3))
キャサリン フィッシャー Catherine Fisher
4562038667

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