『マルドゥック・フラグメンツ』

マルドゥック・フラグメンツ (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-11)
冲方 丁 寺田 克也
4150310319


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借りて読了。

金色のネズミと少女が生きる意味を求めて巨悪と戦う、未来アクションSF。マルドゥックシリーズの短篇集。

『マルドゥック・スクランブル』映画化を受けて編まれた番外小説と予告編と著者インタビュー。
収録作品は以下の通りです。


マルドゥック・スクランブル“104”
マルドゥック・スクランブル“-200”
Preface of マルドゥック・スクランブル
マルドゥック・ヴェロシティ Prologue & Epilogue
マルドゥック・アノニマス “ウォーバード”
Preface of マルドゥック・アノニマス

冲方丁インタビュウ 古典化を阻止するための試み

抜粋収録 事件屋稼業




「“104”」のみ既読でした。

二作目までは「スクランブル」の前日譚で、ウフコックとボイルドがパートナーだった頃の話。
「スクランブル」予告編をはさんで「ヴェロシティ」のプロローグとエピローグ。
未だ刊行されていない続編「アノニマス」を舞台にした他者視点のスピンアウト。
そして「アノニマス」予告編。

読んでいて純粋に話を楽しめたのは、冒頭二作です。
ウフコックとボイルドの関係が、不穏の兆しはあれどもまだ安定していて、一話完結の事件ものとして読めるからでしょうか。
このふたり主人公の短編シリーズなんかあればいいのになと思わせる楽しさです。

しかし、それはすでに過去の出来事なのですよね。あのころは幸せだったという懐古の念が、ただの読み手であるわたしにすら湧いてくる、せつないシリーズだなあと思います。

中身はアクションにグロテスクなバイオレンスなんですけどねえ;

懐かしさのあとには、あれからかれらはどうなったのか、という未来への興味をひかれる短編と予告編が載っています。

成長したバロットの姿や、イースター事務所のあらたなメンバーが新鮮です。
ウフコックは、ウフコックは、ウフコックが……ああ……

それから著者インタビュー。
『マルドゥック・スクランブル』映画化と、完全版執筆の経緯と必然性、書き直しによってどれだけ品質が向上したかを書いた本人の言葉で読むと、すでに読んだ話と思ってスルーしていたのに、やっぱり読みたいかも~という気持ちになるのでやばいです。

しかも、この本を読んでマルドゥック・シティの設定がようやく頭の中に描かれてきたというわたしは、どんだけ鈍いんだろう。
「シュピーゲル」シリーズを読んでなかったら、まだ理解してなかったかもしれないと思ったり。
この作家の頭の中にある未来都市の姿が、やっとつかめたような実感があります。それがわたしにとってのこの本の収穫。

巻末には「スクランブル」の初稿原稿の冒頭抜粋が掲載されてます。
話はほぼおなじなのに、視点人物や構成の変化で雰囲気ががらりと違う。
これだけでも、作家・冲方丁の進化がよくわかります。
完全版はいったいどうなってるんでしょうねえ。

結論。
『マルドゥック・アノニマス』とっても読みたいです。ウフコックが気になるのです。
けどわたしは、『テスタメント・シュピーゲル』のつづきがもっと読みたいのです!

この本は「マルドゥック」だからしかたないけど、「ヴェロシティ」の改訂版の話まで出てて、あわわと焦りました。書くなとは言えないけど、『テスタメント』を出してからにしていただきたいものです。


シリーズ開幕編はこちら。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
冲方 丁
4150310149

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