『黒き翼の王 下 エリアナンの魔女4』

エリアナンの魔女4 黒き翼の王(下) (エリアナンの魔女 4)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198631441


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読了。

敵味方入り乱れての重厚なケルト風異世界戦乱ファンタジー、三部作の第二部完結編。

故郷アルバから星船にのってやってきたエリアナンで、すべての種族を統べる王となったリオナガン。
しかしリオナガンの下につく事をよしとしない海の種族フェアジーンから送り込まれた〈妖術師〉の女マヤに洗脳された王ジャスパーはマヤを妃にし、王国の守り手だった魔女を一掃する政策をとるようになる。
マヤの政策によってエリアナンは混乱し、ほかの勢力もリオナガンに反旗を翻すために画策していた。

そして、迫害の中で身を潜めていた魔女たちも、ジャスパーの死期が近いことを知り、リオナガンの未来を憂えて一斉蜂起の準備を整えつつあった。

……という物語世界の中で、駆け出し魔女のイサボーが師匠である大魔女メガンの命を受けて過酷な道を歩んでいく、というのがまず大筋のストーリーです。

実際はヒロインにべったりという展開ではなく、イサボーの双子の姉イズールトや王弟ラクラン、老見者ジョーグとかれが保護し、かれを守ることになった子供たち、大魔女メガン、海の妖フェアジーンであることを隠して女王となるマヤ、密かにリオナガンに対抗するアランの女藩公の息子イアン、などなど、たくさんの登場人物の視点で進む群像劇として、複数のストーリーが同時進行する重厚で複雑な物語になっています。

なにより特徴的なのはそのシビアーな描写。
血が流れ肉が潰され首が飛ばされ、というグロテスクなシーンも正面から描いていますので、苦手な方はご注意を。

さらに翻訳物とは思えない展開の速さにも驚かされました。
これまでならもっとディテールと時間を費やしそうなシーンが、ざくざくと省かれている感じでして、けれども端折った感じを受けないのは、登場人物の内面が客観的にではありますが深く描かれているからかと思われます。

わたしなどはストーリーよりもイサボーやイズールトの感情的な起伏の大きさに振り回された感がありました(苦笑。

劇的なストーリーと魔法描写のリアリティー、そして個性豊かな動物たちがすてきです。

ただ、内容のわりにコンパクトなのはいいけれど状況説明がちとすくないので、個々の陣営がどういう関係にあるのかを把握するのが少々難しかったです。

とくに、表も裏も敵対している女王マヤと魔女たちはぱっとわかるのですが、アランのマルグリッドは表向きは友好関係にあるのと、彼女とつながってるらしいティルソワレーとリオナガンとの関係が曖昧なので、「???」なことになりやすかった(汗。

エリアナンにたくさんいるらしい人外の存在って、つまりは先住民ってことなんでしょうかねえ。

リオナガン王家に伝わるロードスターと、十二公家の存在がケルトっぽいので、ぼうっとしてるとケルト風ファンタジーを読んでると思いがちですが、そういえばこの話って設定的にはSFに近かったような?

といろいろと謎ときみたいな読み方をして楽しんでいます。
ちょっと面倒なところもありますが、わたしは好きです。

いったい、つづきはどうなるのかなー。興味津々。

第三部はすでに上巻が刊行済みです。

エリアナンの魔女5 薔薇と茨の塔(上) (エリアナンの魔女 5)
ケイト・フォーサイス 井辻朱美
4198631468

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