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『まほろ駅前多田便利軒』

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦 しをん
4167761017


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借りて読了。

三浦しをん、初読みです。
第135回直木賞受賞作品だそうです。
ふだんジャンル小説ばかり読んでいる人なので、ちょっと面倒くさい読み心地でしたが、面白かったです。

面倒くさい、というのは、ふつうの現実日本が舞台になると状況説明が省かれる事が多くて、そのぶん自分で類推しなくちゃならない部分が多くなる、ということかなあ。
常識からいって「当たり前だから」と読み手に丸投げされてるのであろうその部分が、わたしには当たり前でないらしいです。

舞台となっているまほろ市が知ってる土地っぽかったので、その気後れ分が半分くらい助かりましたが、そうでなかったら読み切れなかったかも(汗。

話は、ほそぼそと便利屋を営んでいるバツイチ中年男が、高校の同級生と再会してころがりこまれ、なぜか雇うことになり、ふたりで仕事をするうちに出会ういろんな出来事を中心にして、郊外の都市で暮らす人々の現在を描いていく、連作短編のような体裁です。

読んでいて、あーー、これ、マンガっぽいなーと思いました。ちょっとブンガクっぽい雰囲気の、センスの良いマンガです。
そして、マンガならたぶんこんなに読むのに苦労してないなー、とも。

つぎからつぎへと変人ぽいひとがでてきて、キャラクターとして絵が描けてしまいそうなところとか、事件が三面記事っぽいところとか、あくまで雰囲気は日常だけど、危険な部分に足を突っ込みかけた、あるいはもう突っ込んでしまってる、あやうい道を歩いているひとたちの綱渡りな人生が笑い要素をふくんで繰り広げられるあたりも、いままでマンガで読んできた物語によく似ています。

こういう話を文学が書くようになったのかー、と思いました。

適度な距離感の元に登場人物を描いていく、さらりとした文章。さりげないところにすこしずつ仕掛けが仕込まれている展開が面白かったです。

いかにもうらぶれてる主人公の多田と、盛大にドロップアウトしてるのになぜか悲壮感の無い行天の対比が印象的でした。

現代社会の問題点(高齢化・ネグレクト・DV・ドラッグ・生殖医療などなど)がてんこもりなあたりにちょっと疲れましたが、それぞれに少しの救いや希望がある結末で後味はよかったです。

ときどき、印象的な文章や台詞が眼に飛び込んでくるのに不意をつかれて、立ち止まりました。
心に波紋を残すような表現は、同時代を生きて同時代を描く作家が持つ言葉の力なんだろうなと、普段現代物を読まないわたしは感じたのでした。

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