『天球儀とイングランドの魔法使い』

天球儀とイングランドの魔法使い (創元推理文庫)
マリー・ルツコスキ 圷 香織
4488556035


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読了。

魔法のある十六世紀ヨーロッパを舞台に、ボヘミア生まれの十四歳の女の子が父親のために頑張る冒険ファンタジー、シリーズ二作目。



ボヘミアを統べるロドルフォ王子から時計職人の父親の眼球を取り戻したペトラは、王子に完全に眼を付けられた。父親ミカルは親族を遠方へ避難させ、ペトラたちも村から逃げることになっていた。しかし、ペトラが友人トミックの元を訪れている間に父親の店は焼き討ちに会い、かけつけたペトラも恐ろしい怪物グリストレスキに襲われてしまう。大けがをして気を失ったペトラは、目が覚めたときにはロンドンにいた。イングランドのスパイで魔法使いのジョン・ディーが彼女を助け出してくれたのだ。ペトラはディーの思惑を勘ぐって打ち解けようとはしなかったが、ディーはペトラを匿い、さまざまな訓練を施し始めた。




なにこのものすごいへそ曲がりヒロイン……。
十四歳だからちょうどそういうお年頃でもあるんだろうけど、ペトラの、必ず人の言葉の正反対を行く頑固なキャラクターに終始あきれっぱなしのお話でした(苦笑。

舞台は十六世紀のボヘミアからイングランドへ。
時はエリザベス女王の統治下で、女王陛下に使える魔法使いディーの身辺には陰謀が渦巻いています。
そんなところに故郷の統治者から追われている少女を助けてかくまって、さらにさまざまな事を教えてくれようとするディーに、ペトラはことごとく反発。あんな態度やこんな態度であからさまに反感を示します。

たしかに秘密主義だけど、それは彼女のことを慮ってのことなのになあ……。
でも鉄壁のへそ曲がりと頑固は、それはそれで読んでいて笑えます。
ペトラはこの性格でかなり損をしているし、本人もうっすらとは自覚があるのですw

一巻ではペトラの視点で物語が進みますが、今回はペトラを追いかけてとんだことに巻き込まれてしまうトミックの物語からも眼が離せません。というか、トミックはペトラみたいな性格ではないのでとても効率よく自分の道を進んでいきますよ。

一巻でペトラのパートナーを演じたロマのニールも健在。

さらにペトラは剣術指南役のキットという少年とも出会います。

なにげなく読んでましたが、これって逆ハーレム状態では!?

ひきつづき悪役をつとめるロドルフォ王子は、今回は天球儀(セレスチアル・グローブ)に夢中です。
これが、メルカトル法で有名なメルカトルがつくったものすごく便利な機能を持ったブツらしいのです。

イングランドでは実在の人物が多数出演します。

だれもが魔法の才をもつ世界で、魔法がさまざまなシーンで重要な役割を果たしてくれるのがファンタジー読みには嬉しいところ。
ペトラの特異な能力もついにあきらかになります。

それにしても、ペトラのお父さんはつくづく不幸の星の元に生まれたんだなあ……。

ペトラの言動がおかしいのと、トミックとニールの鞘当てが笑えるのと、ディーが気の毒なのと、ペトラの親友で金属製の蜘蛛アストラフィルがかわいいので、とても楽しく読みました。

つづきがとても読みたいのですが、この本が出た時点では本国でもまだ刊行されてなかったらしいです。
今はどうなってるのかな。出たのならちゃんと翻訳して出していただきたいものです。


シリーズ開幕編はこちら。
ボヘミアの不思議キャビネット (創元推理文庫)
マリー・ルツコスキ 圷 香織
4488556027

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