『はなひらく ―淵国五皇子伝―』

はなひらく 淵国五皇子伝 (一迅社文庫 アイリス こ 03-02)
古戸 マチコ 鳴海 ゆき
4758041563


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読了。

植物を異常に発育させてしまう異能を持つ女の子と、東の大国・淵の呪われた五人の皇子とのいろいろを、ギャグをちりばめて明るく描く、異世界メルヘン。シリーズ開幕編。



少女カナンは、感情を爆発させると植物を異常繁茂させてしまう力のせいで、生まれ故郷を離れ、王立大学の植物学舎の片隅で小間使いのようなことをして暮らしていた。そんなある日、東の国・淵からやってきた善という若い茶商人が、カナンにある植物の種を見せ、あるひとの病を治すためにこの種を育てて実を付けさせてほしいという。故郷で人々から憎まれ、植物の檻の中で死にかけていたカナンを救ってくれたのは淵の国のひとだった。カナンがその種に触れると種の言葉が聞こえてあっという間に種から伸びた緑のツタや葉に全身を取りつかれており、そのてっぺんにはまだ咲いていない堅いつぼみまでがあった。かくしてカナンは善の導きにより淵の国へと旅立つことになったのだが――




お初の一迅社文庫アイリスでございます。
このレーベルは新刊がちょぴっと入荷するかまったくしないかで、たいていの場合リアルでみることなく過ぎ去ってしまうのですが、めずらしく発見したので買ってみました。

おおむね楽しい……けど、せわしない……。
ネタがたくさん詰まってるんです。異能を持って生まれたヒロインとか、異文化接触とか、トラウマだらけの皇子様たちとか、植物かわいいとか、トカゲかわいいとか、女装にいさんかっこいいとか。ネタは笑いネタも含みます。その点では前半はネタだらけといっても過言ではないです。

それでなくとも五人皇子という時点でせわしないのに、とてもたくさんの要素を詰め込んだ結果、中途半端になってしまったネタがけっこうあって、それがもったいない。そのあたりはバッサリと切ってほかのところ、たとえば善が来るまでのカナンの大学での立場がいまいちわかりにくい(小間使いのような、と書いたけど実際どうなのかな)ので、そのあたりを書き込んでもらえたら嬉しかったかも。

ヒロインが設定だけでできてるようなあいまいなままだったので、話の核心がなかなかつかめなくて、ラストでようやく、ああと腑に落ちた。ので読後感はよかったです。それまでの流れがあればもっとカタルシスが味わえたと思う。

ネットでずっと拝見していたので、作者さんの文章のセンスのよさは知ってるし、こころのうごきをきちんと書ける事も知ってるので、ちょっと残念。

わたしとしては本当はこんな版で押したようなありふれた設定の異世界ファンタジーではなく、ちょっと変わった味わいの短編を読みたい作者さんなんですが、商業作品では無理なのかな、かな、かな。

シリーズとしては好評らしく、続刊が出ています。

はなうたう-淵国五皇子伝- (一迅社文庫 アイリス こ 3-3)
古戸 マチコ 鳴海 ゆき
4758041911

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