『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー I』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーI (ハヤカワ文庫JA)
五代ゆう 前田浩孝
415031022X


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読了。

文明崩壊後の近未来的世界で、生存のためにただひたすら戦ってきた主人公たちがある出来事を機に自我を得て、戸惑いつつも楽園へと至るために進んでいく姿を、世界の謎とともに描くSFファンタジー。シリーズ開幕編。
ゲームソフト『アバタールチューナー』の原案小説。


荒廃した世界でジャンクヤードに生を受けた者たちは、それぞれが属するトライブのリーダーの元に武力闘争を続けていた。殺さなければ殺される。荒んだ世界で生き延びるためにはジャンクヤードすべてを制圧し、勝利者としてカルマ教会に認められて楽園への扉を開かせなければならないのだ。新興トライブ〈エンブリオン〉の若きリーダー・サーフは、隣接するトライブ〈アサインメンツ〉との境界にあらわれた正体不明の大きな異物を巡っての抗争中に、思いがけない出来事に襲われる。一度は死を感じたサーフだったが、そこで何かが起きた。意識を取り戻したサーフは謎の異物のあった場所に眠るしろい少女を発見する。



ゲームはまったく知らないのですが、五代ゆうさんの新作ということで購入。
完結まで待とうと思っていたのですが待ちきれずに読み出してしまいました。

面白かったあ。

五感に響いてくるような描写、文章の畳み掛けるようなリズムがカッコイイです。
読んでいて久しぶりにこんな文章を書きたいわーと思いました。
三人称単視点の文章で、基本的に主役サーフの視線からみた世界が描かれているのですが、それほどかれの心情どっぷりというわけでもなく、とりまく世界を細部まで画像的・感覚的に描き出しているところがたまりません。

アクションシーンもスピード感があって快感。
冒頭のミリタリーぽいのも楽しいけど、あとの怪物同士の対決も血肉がたぎる感じでいいですね。

個人的に印象に残ったのは、水銀にたとえた描写です。
どろっとした粘性と、ぎらりとする反射と、毒なのになおかつ美しい、メタリックなのに変化する存在感。

変化する、というのはこの話の重要な部分かも知れません。

ゲームをしていないので物語世界の仕組みがいまいちわかってないままに読んでますが、楽園の名前がニルヴァーナだったり、ジャングヤードの人間たちがアスラと呼ばれたりするので、仏教の曼荼羅とか解脱とかが頭でぐるぐるとまわっています。

あのマントラも、見覚えのあるものだったのでびっくり。
意味までは知らなかったので、分かってちょっと嬉しいです。

でも、用語はべつにサンスクリットだけじゃないし、ここの文化はどうなってるんだろうというのも多いに興味があるところです。

各章の冒頭にかかげられた引用をねぶねぶ読んでみたり(わたしには理解不能なところ多数;)、蓮の花から生まれた(といっていいのか;)しろい女の子セラの役割をいろいろ想像してみたりしています。

大きな謎のなか、登場人物たちの混乱と葛藤がダイレクトに響いてくるやりとりもおもしろい。ただ存在していたものたちが突然自分を意識しはじめたらどうなるか。これって『ハーモニー』の逆バージョン?

主人公のサーフと、副官ヒートの関係は読む人が読んだらいろいろと想像できるんだろうなー。と今気がつきましたw

ところで、わたしはなぜか途中からサーフが島村ジョーに読めてきてしまって、自分で困惑しているところです。何故でしょう、自分でも理由がわからない;

ストーリーはトライブ同士の関係変化に、教会内での暗闘を暗示して、緊張感を維持したまますすみ、ラストは思いっきりええっ、なんですか? とひっぱったまま次巻につづいています。
たぶん、このひとはあのひとだと思うんですが、間違っていたら恥ずかしいので明言は避けときます。

問題なのはゲームをやってみたくなってきちゃってること。
ド下手なんで最近はあんまり手を出さないようにしてるんですが(進まないので嫌んになってしまう)、女神転生ならわたしにもできたからもしかして……などと色気が頭をもたげてきた。

いや、しかし、ゲームをしたらネタバレになるんじゃないの……?
葛藤しつつ、まずつづきを読むべきよねと自分に言い聞かせます。
それにいまは節電だしね……

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅡ (ハヤカワ文庫JA)
五代ゆう 前田浩孝
4150310297

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