『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー III』

クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅢ (ハヤカワ文庫JA)
五代ゆう 前田浩孝
4150310386


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読了。

近未来終末SF。ゲーム原案小説「アバタールチューナー」の、緊張感あふれるシリーズ第三巻。



死に至る忌まわしい奇病が蔓延する地球で、人類は滅亡の道をたどりつつあった。恋人・蛍を失っ自暴自棄の日々を送っていた穂村一機は、大学時代の友人で蛍の双子の兄・水無瀬眞から仕事の打診を受ける。蛍から兄は悪魔だと警告されていたにもかかわらず、一幾は蛍そっくりの美しい顔に魅入られてニューヨークへと旅立ってしまう。到着後、武装した何者かに拘束された一幾は、機密保持と称して外部との接触を断たれたのち、眞からことの次第を告げられる。共感能力を持つがゆえに飛び抜けて優秀な精神技術者である一幾は、巨大な権力により人類の存亡を賭けた造りあげられた〈女神〉とも呼ばれる少女の姿をした異質な存在=テクノシャーマンへのアプローチ役を期待されていたのだ。




うわーーー。
こんな種があったのかーーっ!!

全巻まではすでに文明が崩壊した世界で物語が展開されていましたが、この巻ではいままでの世界を内包した外の世界の現実が明らかになっていきます。

この場合は別の世界=現実世界の直接の延長とされる近未来世界です。
ここで文明はまだ崩壊しきってはいません。けれど、死に至る病の席巻に現実に衰亡は進行しつつあり、いまにも終末が来ようかという危機的な状況に陥っています。

国家は瓦解し、多くの地域が無法化し、わずかな富める者たちのみが高価な科学技術によって命ながらえている、荒んだ世界。

ここに描かれているヴィジョンは、前回までのゲーム的な世界から抜け出てきたわたしにとって非常に強烈なものでした。
まさに、いま現在だからこそ書かれたとでもいうような、切実さと不安と焦燥の空気がリアルに伝わってくる迫力があります。

さらに、蔓延する奇病のメカニズムや、遺伝子操作によって生まれるデザイナーズ・ベビーなどの予測可能な未来のテクノロジー、精神医学的だったり、哲学的だったりするアプローチや、ミリタリーの要素、などなどハードSFのエッセンスがたっぷりと詰め込まれてて、近未来ものを読む喜びに充ち満ちてて。

面白かったー!!!

その話はというと、謎のテクノシャーマンをめぐる謎解きであり、権力闘争の行方を描くサスペンスであり、破滅へのみちのりを避けようとしながらも吸い寄せられてゆくような、緊張感にあふれた力のある物語でありました。

ジャンクヤード成立より過去の物語ですが、そのクリアーな回答ではなく、謎が謎を呼んでいくのも興味深いです。

そして、パート1での素朴な人間関係をあざ笑うかのような、不信と疑心暗鬼にみちみちた世界が描かれてもいます。
その、誰も信用できないという雰囲気こそがよりリアルな現実的空気をもたらしていることは、残念なことですがしかたがないですね。

物語はスカッとわりきれるのが読み手の癒しにつながるのだとおもいます。

しかし、その単純な爽快感だけでは物足りないと感じるときはあります。そんなときにはできるでけ現実に裏打ちされた設定で、丁寧にいらだちにみちた現状をすくいあげつつも、それでもなおかつ何かにむかって進んでいる実感が体験できるのが、フィクションのよいところなのかなーと思ったりしました。

あれ、わたしはいったい何を書いてるんでしょうか;

閑話休題。

突然キャラ語りになりますが、パート1からひきつづきの出演者シン・ミナセの人物像には驚愕しましたよ、もー。
これがサーフのモデルなんて、あくまでもモデルでしかもテクノシャーマンの解釈を通したものなわけですが、それでもこんなの嘘でしょーとしか思えない人物だった。
双子の妹に悪魔だと言われる人物なだけのことはあります。

それに対して、穂村一幾がああなるのは、よくわかりました。かれはセラにとってはつねに怒りの象徴なんですね。

その他のパート1のキャラの原形人物がだれかを推理するのも面白かったです。

それで、水無瀬眞が何者で、他人にどう思われているのか、ということは、翻弄されまくる穂村一幾の視点で散々に描かれてますが、本人が何を思って何をめざしているのかはいまだに謎のままです。

テクノシャーマンであるセラがかれを見いだした理由にポイントがありそうな気がしますが、どうなのだろう。

そこらへんの謎は今後明らかになっていくのだろうなと思うのですが、そもそもテクノシャーマンという存在が、わたしにはちょっと理解不能でした。
概念としてはわかるのですが感覚的には疑問符付きのまま;

でも、テクノシャーマンを生み出した電算機の頭脳がどこからきたか、という点はなんとなく納得していたりするので、自分でもこの世界をどう理解しているのか、謎です。

はやくつづきを読んで、理解を深めたいです。

四巻はすでに刊行済み。で、購入済みです。読むのが楽しみですv

アバタールチューナーⅣ (クォンタムデビルサーガ)
五代 ゆう 前田浩孝
4150310440

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