『封殺鬼 帝都万葉』 

封殺鬼 帝都万葉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
4094521852


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読了。

軍国主義へと傾きつつある時代の日本を舞台に、平安時代から続く陰陽師の家系の少女当主・桐子とふたりの使役鬼の、人ならざるものとの事件を叙情性豊かな筆致でシャープに描くシリーズ。『封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ』のたぶん直接の続き。



昭和六年、秋。武見志郎は黒い蛇のような影のまとわりつく簪を、そのために具合の悪くなった近所の隠居からもらい受けていた。そこに陰陽師の神島家の使役鬼・戸倉聖がとうとつにやってきた。当主の桐子が京都の本家からやってきたので挨拶しにこいという。桐子は帝都で広がる霊障騒ぎを調べに来たのだ。聖は簪を霊障騒ぎと関係あるのではと神島家に持ち帰ったが、猫又がくわえてもっていってしまう。猫又を追って志郎と鉢合わせをした桐子。そこに簪に未練があるという記憶喪失のしゃべる達磨が流されてきた。




今回はすこうし軽めの雰囲気で始まりました。あいかわらず、さらりと書かれる文章に詩情があってすてきです。

しかし、話そのものはかなり深刻。いや、たぶんこの本が書かれ、刊行された一月に読んだらそれほどは感じなかったと思われるのですが。

せつない哀しい苦しい、そんな念を抱いてただよう怨念のことを実感として切り捨てられなくなりました。

いつも時代の社会的な情勢まで組み込んだ話をきちんと描かれる作家さんですが、そうか、昭和の初めの日本は大震災の爪痕からまだ立ち直ってなかったんだね、というかむしろそのせいで余計に不景気が募って情勢が悪化したのかな、ということをわたしはこれで初めて意識した気がします。お勉強させてもらいました。

話自体はいつもどおり、鬼と陰陽師と産女の息子の掛け合い漫才が楽しく続きます。

とくに桐子ちゃんはとってもほほ笑ましいツンデレさんで、志郎くんは模範的な朴念仁で、これでもかこれでもかと桐子をスルーしまくって、いやはははははw ニヤニヤが止まりませんでした。

聖と弓生の桐子可愛い度の競いまくりも可笑しい。
かれらの愛情はせつなさを含んだもので、そのことがあらわになるたびに泣きそうになるのですが、志郎に対するふたりの正反対な態度も可笑しいです。

それに鬼以外の人外キャラクターも大活躍。きな臭い関係がでてこなかったので、今回は全体的に人情ばなしの雰囲気となりました。

姐さんの人生相談がナイス!

つづきはまだ出ていないようですが、このあと桐子と志郎はどうなっていくのかな。
楽しみにお待ちしています。


シリーズ開幕編はこちら。
封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈1〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ 也
4094520082

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