『光待つ場所へ』

光待つ場所へ
辻村 深月
4062162512


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読了。

現代青春小説短編集。
収録作品は以下の通りです。


しあわせのみち
チハラトーコの物語
樹氷の街




散歩中に移動図書館に出会い、ちょうど図書館カードを持ってたので何かないかなと探してちょっと興味が湧いて借りてきたものです。

この作者さん、凄い!

繊細で傷つきやすいけど自意識はとてつもなく強い若者たちの、いまだ何者になれるかわからない状態での不安と葛藤を、鋭く繊細に描き出してて鮮やか。

自分は特別であるはずと思いつつ、本当に特別になれるのかという不安に揺れ動いている若い心の、臆病だけど頑固な存在感にたいへん親近感が湧きました。

多分、本を好んで読むような人にはみな覚えがあるんじゃないかな。
特に、何かを自分で作り出そうとしたことのある人には痛烈に響くと思う。

持って生まれた才能の違いとか、自分の行けるレベルが見えてくるときの失望感とか、それでも諦めきれずにしがみついていたい心とか。

困難の果てに成功を手にする人も、ついに手に入れられない人も、苦しむのはみな同じなんだなと思いました。苦しむところは違ってもね。

そんなわけで、けっしてほのぼのやふうわりとした作品ではなく、ささくれ立つような空気を抱えている作品ばかりなのですが、救われるのは登場人物たちが若者で、最終的にはみな育ち盛りの貴重な時間を割いて何かを得る、成長物語だからでしょう。

一度なにかを諦めたとしても、世界はまだ広いということが認識できるというか。うん。
ひとつの終わりはまたなにかの始まりなのですよね。

というわけで、たいへん興味深い読書体験をさせていただきました。

いま、葛藤しているひとたちに読んでもらいたいお話たちです。
面白かった!

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