『勇敢なアズムーン アムール地方のむかし話』

勇敢なアズムーン―アムール地方のむかし話
D. ナギーシキン G. パヴリーシン 大橋 千明
4845706466


読了。

現在はロシア領のアムール川周辺地域に伝わる民話集。
うつくしいカラーの挿画が何枚もついてます。


勇敢なアズムーン
クマとシマリスはどうして仲が悪くなったか
大きな災難
チョリリとチョリチナイ
七つの恐怖
ニカンの花嫁
意地の悪いラド
小さなエリガー
ふたりの弱いものとひとりの強いもの
男の子チョクチョー
みなしごのマムブ

訳者あとがき




移動図書館で目に付いたので借りてきたもの。
そういえば、ロシアの民話はあんまり読んだことがないかもーと思いまして。

勇壮なタイトルから英雄物を想像していたのですが、どちらかというと昔話ぽいものが多かったです。

表題作は、川から流れてきた赤ん坊アズムーンが恩返しに鬼退治……じゃない、飢餓の原因の海の主を説得しにいくお話。なんですが、拾って家につれ帰る間の超展開に目を白黒させてしまいました。これでもこんな恩返ししてくれるんだ……目が点。

欲深さや傲慢を戒める教訓話は、わりと普通のたたずまいでしたが、狩猟民族らしく、動物の話や狩りの話がからんでくることが多いのが印象的。

民話なので信仰などはあまり触れられていないのですが、それでもはしばしにさまざまなルールがあることが推察される記述になるほどーと思わされました。

たとえば、狩りをするときは標的にこれからあなたを狩りますよと意思表示をそれも二回しなくてはならないとか。それ以外の動物を狩ってしまうのはタブーであるとか。

なんとなくアイヌの文化を彷彿とさせられます。
周辺地図を見るとそれもむべなるかな。
アムール川流域ってロシアの極東。オホーツク海がすぐそこです。
話の中に日本もなんとなく出てきたように思います。

さらに目をひくのが部族間抗争の多いこと。
そしてモンゴル侵攻の話や、漁師と商人との確執など、現実絡みでの遺恨を晴らすような話もありました。

その晴らし方が、また狩猟民族らしいというか。農耕民族からすると目をむくような過激さです。たぶん、かれらにとっては狩猟の延長でごく普通の当然のことなんだろうけど。

それから固有名詞が新鮮でした。
チョリリとチョリチナイてなんかかわいい響きだわー。
チョクチョーは、ちょっと待て、と思いましたがw

この本の原本は、ロシア共和国出身の作家ドミートリー・ドミートリエヴィチ・ナギーシキンが、少数民族の民話を元に創作したものだそうです。当時はまだソ連邦でした。この本に収録されてるのは全三十一作中からの十一作。半分以上割愛されてるのか……。

民族文化を豊かにあらわした美しい挿画を描いているのがゲンナジー・ドミートリエヴィチ・パヴリーシン。書影がないのが残念です。

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