『高慢と偏見 下』

高慢と偏見 下 ちくま文庫 お 42-2
ジェイン オースティン Jane Austen
4480038647


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読了。

十八世紀末イングランドのジェントリー階級を舞台に、ひとりの機知に富んだ女性と堅物な男性とのロマンスを登場人物の緻密な性格描写とともに描く、ロマンスコメディーの下巻。

まずもっておわぴを申し上げます。
上巻のあらすじに、ベネット家を中流の下の階級と書きましたが、間違いでした。ジェントリーは上流の下です。
この時代のイングランドではまず、上流階級のひとびとは働いてはいけないという不文律があって、働かずに暮らしていくことがことが至上命題である、ということが前提となっているストーリーなんですね。

というわけで、上巻でとんでもないヒキを持って終わった話の続きです。

ダーシー氏の本当の姿を次第に知っていくにつれ、どんどん惹かれていくエリザベスの姿が楽しいです。

すでに自分から断ち切ったつながりであるという矜持と、ベネット家がダーシー氏におよそ釣りあわないであろうという劣等感で、なかなか自分の未来と向き合うことが出来ません。

さらには姉妹と母親のフォローに忙殺されているうちに、ダーシー氏との距離は開く一方。

そんなおり、ロンドンに住む叔父夫婦とダーシー氏の所領を訪れる機会があり、そのおもむき深く美しい庭の風情や、品と格調のある館のたたずまいに大いに惹かれ、再会したダーシー氏にさらにときめいてしまいます。

ウィッカム氏に植え付けられた偏見がどんどん解かれていって、会えば会うほどダーシー氏の美点がみえてくるところ、期待と不安と羞恥でいっぱいの女心の描写がこまやかで、いろいろとキャッキャ、うふふでたまりません。

そのあと起きる事件も、これまでに張られた伏線を利用してのじつに巧妙なもので、それがさらにエリザベスの苦悩を深めると同時に裏でダーシー氏の株をあげていく効果が素晴らしいです。

あちこちに既視感のあるネタはおそらくこの話が大本で、のちの書かれたロマンス小説がそれをどんどん踏襲していった結果なのかもしれないわーと思いました。

スコットランドへの駆け落ち秘密結婚て、シークレット・マリッジというやつかしら、とか。

ペンバリー屋敷の美しさがそれまでの簡単な描写からすると驚くほど情緒的に描かれてるあたりが、とてもスキーとか。

困ったちゃんなベネット家母と血が繋がってるとは思えないくらい出来た弟、ガーディナー氏とその妻の、あたたかな人柄とエリザベスへの心遣いがいいなあとか。

エリザベスの父親の、ひねくれた現実逃避者具合が、すごく面白いわーとか。

いろいろと読みどころ満載で、たいへん楽しかったです。

しかし、なんといってもロマンス小説かくあれかしなのは、ダーシー氏が犬属性であるってところでしょう!

どこまでもどこまでもエリザベスに忠誠を尽くすダーシー氏に、あり得ないと思いつつも中古乙女はうっとりとさせていただきましたw
現実にないからこそのドリーム、それがロマンス小説の存在意義であります。

しかし、ドリームだけではドリームにならない、きちんと描かれた現実とドリームの配分がとても大事です。
そのバランスがじつに巧妙にとれた、すばらしいロマンス小説でした。
面白かったです!!!

と、力説した所で、これで『高慢と偏見とゾンビ』が読めますよー。
いつ読めるかわからないけど、すごく楽しみです。

高慢と偏見とゾンビ(二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
ジェイン・オースティン セス・グレアム=スミス 安原 和見
4576100076

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