『恋のドレスと陽のあたる階段 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

恋のドレスと陽のあたる階段 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086015153


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読了。

ヴィクトリア朝のイギリスを舞台に、仕立て屋と公爵の跡取り息子の身分差恋愛を、繊細な心理描写で丁寧に描く、ときどきサスペンスな少女向け時代ロマンス小説。シリーズ本編十九冊目。


スコットランドでひとときを過ごした後、クリスとシャーロックはハクニール公爵家の本領ランベスのガイアスタイン城にやってきた。シャーロックの家族との対面を前に緊張するふたりだったが、公爵はクリスを屋敷に入れる許可を出さず、使用人は彼女を離れに連れてゆくよう命じられていた。離れで友人のパメラやリルと再会してすこし落ち着いたクリスだが、公爵は大勢の知人を屋敷に招いており、クリスは大勢の上流の人々の好奇と敵意の眼に晒されることとになった。なかでも行き遅れの娘クレアの母親マーシャル夫人はクリスにさまざまないやがらせをしかけてくるが――




ついにハクニール公爵家と敵本陣でのご対面編です。

自分たちのことでいっぱいいっぱいのふたりを迎え撃つハクニール公爵家当主アルフレイドの冷静かつ周到かつ老獪な戦術に、まず足下をすくわれてはじまる、はらはらドキドキな展開にわくわくです。

シャーロックは自分が戦うのは父親だと思い込んでいたのが、あっちからもこっちからも伏兵が現れて、慌てて途方に暮れてる姿がすごくたのしいです。
障害が高くなるせいで余計につのるクリスへの恋心というあたりも、かーわいいww

むしろクリスの方がシャーロックよりも冷静で、それは彼女が厳しい現実を生き抜いてきたからからだと思われます。
そして彼女には、その過程で培ってきた人脈があります。これがあなどれない。
パメラやリルやアントニーはもちろん、ジャレッドも、オブシディアンズの執事クラウドさんも、コーネリア嬢も、みな、クリス自身の魅力によって彼女に味方するようになったひとたちで、窮地にあって心強い援軍です。

もちろん敵は多いし、社交の場で絶え間なくしかけられる意地悪い罠を耐えてゆくのはクリスなのですが、彼女は一人ではないというのが、この話がどろどろにならない理由かなと思いました。

しかも、クリスはハクニール家でもどんどんシンパを増やしていくのですよ。
シャーロックよりクリスの方が強いよなあ、どうみても。

ハクニール家は今まで申し分のない社交界の地位をもち財産家で、国に多大な貢献をしている由緒正しき公爵家と書かれてきましたが、かれらの家庭内の実態がけっこう外面と違うことがわかってきて面白いです。
といっても、深刻な家庭内不和とかがあるわけではないのですが、お高くとりすましたお上品な一家ではないらしい……これ笑う。笑ってしまう。

公爵と奥方の過去話とか読んでみたくなりましたww

予想外だったのは、闇のドレス残党がからんできたことか。
えー、まだ出てくるのと思わないでもなかったですが、どうやらこれからも出てきそうな気配です。
これで、いままでわからなかった所が解明されるような展開になるのなら、それはそれで歓迎ですが。

しかし、クリスの母親って、なんだかよくわからないひとだなあ。

今回、一番いそがしくて大変だったのはアントニーくんだった気がします。
こんなに気働きの出来る従僕に育てたのがシャーロックだなんて、いや、あの朴念仁シャーロックについてたからこそ、ここまで優秀になったのかもしれないけど。
いろいろと、ほんとうにいろいろとお疲れさまでございます。
クラウドさんに愚痴を聞いてもらえたかしら、いや、どうかな、そういうときはこうしなさいとか指導されてそう。

さて、つづき、つづき。

恋のドレスと翡翠の森 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086015404

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