『イングールの天馬 黒の王子と月の姫君』上下巻

イングールの天馬―黒の王子と月の姫君〈上〉 (カラフル文庫)
篠原 まり 睦月 ムンク
4861765803


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読了。

異世界ファンタジーの魅力がぎゅぎゅっと凝縮された、正統派の物語。


“銀の泉の清らかな流れと、炎の剣のまばゆき光が出会うとき、青き大地に真白き天馬降り立ち、そのひづめの下に杯は砕ける”
神聖なる青の神殿に下された予言夢のもと、奇跡の王の両親となるものとして選び出されたふたり、バーゼオン国第三王子ガイルズ十歳とエルマス国第二王女アリシア七歳は婚約者となった。それから八年後。未だに対面したことのないふたりの婚礼の日取りが正式に決まった。国境警備軍総司令官として赴任中のガイルズは、国王である父親から届いたアリシア姫の肖像画に顔がなにも描かれていなかったことに興味を惹かれ、エルマスまで花嫁を迎えに行くと言い出す。最小限の供回りを連れてお忍びで花嫁行列に近づいたガイウスが出会ったのは、行列から離れて先行し賊に襲われていた一行だった。中に姫君の姿を認めたガイウスは、ここにいるのはアリシア姫だと直感する。




面白かったです。

神官たちの見た予言夢により定められた、若い王子と王女の政略結婚から始まった物語は、お互いによる身分詐称。誤解による苦しい恋。横恋慕に、内部の抗争と外部からしかけられる陰謀両方に対処を強いられる緊張と不安と、盛りだくさんの内容です。

それを上下巻に冊に詰め込んでいるので、展開は大変にスピーディー。
つぎからつぎへと起きる出来事に息をついている間もありません。

主人公の王子ガイルスは武将で乱暴な言葉遣い、王女アリシアはメリューナイという魔法を持つ魔女の系譜で中性的にと、キャラクターの描き方はちとあからさまで児童書ぽいですが、おかげで性格はたいへんわかりやすい。

誤解や横恋慕や他人の思惑をのりこえてそれぞれが惹かれあっていくというロマンス部分と、陰謀や抗争やかけひきを二人で切り抜けて行く姿が等価な感じ。女の子にも男の子にも配慮した描き方ですね。

ふたりをとりまく人々がたくさん出てくるのですが、それぞれに登場理由が明確で、きちんと話の中で生きているのがよかったです。

それは書かれているすべての事柄に言えることで、忘れていた頃に回収されて行く伏線にも驚きました。

きっちりと構成された、濃密な物語です。
ファンタジー色も、さらりと書かれてるけどじつは結構濃かったり。

なによりおどろいたのは予言夢関係です。
ネタバレになるのでこれ以上書けないけど、ああ、こんな展開、わたしは初めてです。

欲を言うともっと書き込んで欲しかったなあという部分がたくさんありますが、対象年齢を絞った(おそらく小学校高学年から中学生)本なので、そういう余剰部分はそぎ落とされたのでしょうね。

読後感がたいへんによい、大団円の物語でした。

作者さんは『ナルニア国物語』がお好きだそうですが、たしかに雰囲気が似ているかも。

個人的には、神殿の修道士たちに興味があります。
それにちょっとしか出てこないけど長老たちの存在感にはやられましたw

イングールの天馬―黒の王子と月の姫君〈下〉 (カラフル文庫)
篠原 まり 睦月 ムンク
4861765811

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