『聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』

聖者は薔薇を抱きしめて ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086015773


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読了。

ヴィクトリア朝のイギリスを舞台に、仕立て屋と公爵家の跡取りの身分差恋愛を心理描写こまやかに描く、時代ロマンスシリーズ。二十六冊目。番外中短編集。

収録作品は以下の通りです。


十二夜の手紙
私の美しい人だから
聖者は薔薇を抱きしめて

あとがき




ミステリめいた「十二夜の手紙」以外は、パメラちゃんのための一冊でした。

クリスがシャーロックとあれこれやってる間、パメラちゃんだってあれこれあったのよーというお話。
作者さんは元々は本編で同時進行でという心積もりがあったらしいのですが、諸般の理由により別仕立てでということになったらしいです。

読んでみて、それもむべなるかなと思いました。
とくに最後の中編なんて、これだけで一冊にして欲しかったくらいの深さと厚みを持ったお話になってます。

わたしには、最初はともかく堅実に進んでいったクリスの本編よりもドラマ度が高いように感じられました。
いわれてみれば、そういえば最初の頃から伏線は張ってあったなーと思うのですけど、これだけ読むとえらい予想外なお話で……。ドリームっていうか、めっちゃロマンス小説してるわーーって思いました。

描き方がシリーズ初頭の頃よりも堅実になってるので、荒唐無稽にならずに上品にまとめられてて、うわーうわー、って楽しくなる展開です。

時系列としては、「翡翠の森」からあと。「花ひらく淑女」とだいたい並行してて、本編では書かれなかったハクニール家での晩餐からスタート。

お話としてはパメラちゃんとイアン先生とアントニーくんの三角関係ともいえない微妙な関係が中心なんですが、どこまでもどこまでもいい人の立場から抜け出られないアントニーくんがせつない、ていうかいっそ不憫ですwww

イアン先生のお人柄の懐の深さと大ざっぱさが表裏一体なあたりとか、ものすごく存在感ありありですww

個人的には、イアン先生は外科には向いてないんじゃないかなーと思う。医者としての使命感は立派だけど、野戦病院に行って傷病兵になにをするのって思った。手術以外のことをしてもらったほうがいいでしょう……。

イアン先生のご家族はみなさん医療従事者らしいです。
たぶん、そのおかげで女性に対する旧弊な考えから逃れているんでしょうね。

それにしても、イアン先生はものすごくじれったいお方です。
鈍い、鈍すぎる!
と何度心の中で叫んだことか!

恋敵なのになぜか味方をしてくれるおひとよしのアントニーくんがいろいろと可愛そうなので、もういい加減勘弁してやってよーと思いました。

ほんとうにアントニーくんは苦労性で、シャーロックに振り回されてるのと同時進行でイアン先生にも振り回されてたんだわ、パメラちゃんの手助けもクリスへの心遣いも一緒にやってたんだわ、と気がついて、ああ、もう、なんというか……だれかかれをねぎらってやってよ。お願いだからさー。

ここでちょっとだけ、シャーリーの株が上がるエピソードがありましたねwww
(そういえば、シャーリーがジェイン・オースティンを読んでたのにびっくりしたな)

というわけで、ヴィクトリアン・ローズ・テーラーの最終巻の目的はこれだ。
アントニーくんに絶対に幸せになってもらうこと!
候補としては、薔薇色に新しく入った縫子さんですね。

パメラちゃんの決断は実に彼女らしくて、まあ、そういうことになるんだろうなと予想の範囲内ではありました。
予想といえば、パメラちゃんのお話は女子力が高そうだなとは思ってたけど、予想をうわまわる高さでした。
正直にいうと途中で挫けそうになりました。
どのあたりがとか具体的には自分でもわからないんですが、わたしは乙女ゲーとかがこっぱずかしくて(おなじくらい面倒くさくて)出来ない人間なんですよねー。

だからなんだといわれても返答のしようがないですが;

というわけで、たぶんこの次が完結編なんだと思うのですが、完結編に期待するのはアントニーくんの幸せです。
はやく出ないかなー、わくわく。

シリーズ開幕編はこちら。

恋のドレスとつぼみの淑女 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
青木 祐子 あき
4086007169


ついでに。
19世紀イギリスの看護婦さんがでてくる、ということで思い出したミステリ。
とても面白かったのに絶版みたいです。
見知らぬ顔 (創元推理文庫)
アン ペリー Anne Perry
4488295010

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