『夜の写本師』

夜の写本師
乾石 智子
4488024726


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読了。

魔道師に養い親を殺された少年の復讐を魔法にみちた世界に描く、幻想と象徴にあふれたファンタジー。


右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。エズキウムのキーラ村で三つの品を持って生まれてきた少年カリュドウは、御天守山の女魔道師エイリャのもと、本のなかで育った。カリュドウはエイリャの跡継ぎと目されていたが、それはちがった。エイリャはおまえの運命はおまえがいつか開く『月の書』のなかにあると告げる。魔道師アンジストの支配する国エズキウムでは〈収穫めぐり〉の時期に魔道師たちが訪れて、魔道の素質ある子供たちを選別する。女は魔道師にはなれない。そこでカリュドウは選ばれなかったが、エイリャがひとりの少女を隠したことが発覚し、支配者アンジストが現れて恐ろしい魔道の戦いの後にエイリャのもつウィダチスの魔法を奪い取った。いまわの際に、石の入った箱をもってパドゥキアへ逃げろとカリュドウに言い残し、エイリャは死ぬ。



面白かった!!!
久しぶりにファンタジーらしいファンタジーを読んだーという気持ちになりました。

作中では魔道師と呼ばれてるけど魔法使いのお話で、たくさん魔法使いが出てくるのも魅力的ですが、それぞれが駆使する呪法に系統があって、それぞれが国やなにやらによって出自があるとか、魔法使いは人々の影を背負って生きるのだとか、魔法使いに支配された国の成り立ちとか、もういろいろ興味深いことが目白押しでわくわくです。

それとはべつに写本師の仕事とか日常とか写本師のつくる本とか本とか本とか。
これはもう本好きにはたまらない。

主人公のカリュドウが本にまみれて育ってるあたりからすでに予感がしてたんですが、写本師のパートになったらもうこれは! とごろごろ転げ回りたいくらい楽しくてねえ。

タイトルになってる夜の写本師の実態もすごく面白いし、それから開けてきた視界がまた、目の覚めるような世界を目の当たりにさせてくれて。

話の展開も予想外でしたが、期待外ではなく。
むしろそれを上回る興奮が、どどどっとあふれました。

とにかく、本。そして魔法。
魔法による戦い。
そこにあらわれる男性性と女性性のせめぎあいが凄いです。

解説の井辻朱美さんの文章に、かつてのタニス・リーを彷彿とさせる、と書かれてありましたが、まさにわたしもそう感じました。

魔法のもつ光と闇に人間のもつそれを重ね合わせて、物語のために必要な残酷さに手を抜かず、むしろ華麗に捌ききるあたり。

それから、どこまでも緻密に構築され、収められた、細工物のような構成もすばらしかった。

ラノベなどのファンタジーを好まれる方にはキャラクターノベルではないので読みにくいと思いますが、翻訳ファンタジーがお好きな方には一押しです。

わたしはこの物語が大好きだー!!!
と最後に叫んでおきたいですwww

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