『二番目のフローラ 一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事 上』

二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イサボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013333


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読了。

一万一千の部屋のある屋敷で、ただひとり家事をしながら学校に通う十三歳の女の子が、屋敷から切り離された魔法執事と出会って、自分の夢を実現しようと奮闘する。ぶっとんだ異世界家庭問題ファンタジー。上巻。


魔力を持つ執事が名家の巨大な屋敷を管理するのが通例のカリファ王国で、クラックポット屋敷では十三歳のフローラがひとりで家事をこなし、学校に通っていた。フローラの母親で陸軍大将のバックが、屋敷の魔法執事を追放してしまったからだ。毎日が荒れ果てた屋敷と精神を病んだ父親の世話で疲労困憊のうちに終わるフローラだが、十四歳の誕生日を間近に控え、不安が募っていた。フュルドラーカ家のものは伝統として軍人になるものとされ、フローラも十四になった暁には兵舎に入ることになっていた。しかし、フローラがなりたいのは軍人ではなく、秘密部隊の隊員なのだ。母親の手前言い出せずに悶々としていたフローラだが、ある日、禁止されていた昇降機に乗って、思いもかけず図書室にたどり着いた。そこでフローラは母親に追放されたはずのクラックポット屋敷の魔法執事バレフォールと出会った。



変わった異世界の設定だなーと、読みはじめてからしばらくあっけにとられてました。
魔法執事というのは、魔法で屋敷を管理する屋敷の守護霊みたいなものでしょうか。
カリファ王国では名家の屋敷には必ず魔法執事がいて、代々一族のために屋敷を整えている模様です。

しかし、ヒロインであるフローラの屋敷には魔法執事がいず、ゆえに屋敷は荒れ放題。
住人のほとんどが軍隊に出払っていて、常時住んでいるのはフローラと父親だけ。
その父親も戦争で捕虜になった後遺症で使い物にならなくなり、フローラはただひとりで屋敷の管理を一手に引き受け、しかも学校にも通って勉強しなければならない、という現代日本ならば児童虐待として問題視されそうな状態です。

自分におしつけられた状況に苛立ちながらもなんとか雑事をやっつけて日々を過ごしているフローラですが、こまごまとした雑事に紛れて目をそらしていた運命の日が近づくにつれて次第に焦りを覚えはじめています。

フュルドラーカ家の伝統を押しつけられたくない。
自分の将来を自分で決めたい。

しかし。
忙しさからフローラを放置しつづけているものの、愛情はたくさん注いでくれる、ただし一方通行だけどな母親の存在は絶大です。
なにしろ彼女は陸軍大将です。
これがまたびっくらこいたこと。
カリファ国には男女による役割分担とか序列とかはなしの模様です。

それはそれで好ましいことですが、とにかくあまりにも強い母親にフローラは頭が上がりません。

そんなおり、フローラは母親によって追放された魔法執事が、まだ屋敷にいることを発見するのでした。

しかし、魔法執事がでてきたからってそれで万事解決とは行かないあたり、話はちょっとひねくれてます。
そもそも、フローラは魔法執事のバレフォールにたいした興味を抱きません。
自分のことでせいいっぱいなので、バレフォールが助けを求めても生返事しかしません。
バレフォールはバレフォールで、やたらと態度が大きく、横柄で、しかもヘタレで、やたらにフローラに精気を要求します。

このあたり、フローラはまだ十三歳なのでなんの感慨もなく応じていますが、母親が見たら逆上するんじゃないかしらん?

そんなわけで、話は当然そうなるものと予想した方向ではなく、意外な方向へどんどんそれていくのです。

いったい、どうなっちゃうの、この話?

荒唐無稽な異世界設定と、問題山積な家族のなかで虐げられている怒れる子供、というパターンは、どことなくダイアナ・ウィン・ジョーンズを彷彿とさせるものがあるなー。

タイトルは一番目のフローラがかつていた、ということを暗示しているわけですが、最初のフローラのことがフュルドラーカ家の問題の根っこにあるのかなーと、思います。

いろいろと仕込まれているだろう伏線が、無謀な子供たちの作戦とどんなふうに絡んでくるのかが楽しみです。

それにしても、こんなに横柄な執事はわたしは期待していなかった;

二番目のフローラ 下 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イサボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013341

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