『訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語』

訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語 (光文社新書 352)
笹原 宏之
4334034551


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読了。

日本人がいかにして漢字で日本語をあらわすために工夫を重ねてきたか、それによって日本語の表記が豊かになった反面、多岐にわたりすぎて理解するのが難しい部分も増えてしまった、というようなことが具体例とともに丁寧に解説されています。

漢字の訓読みは漢字文化圏ではどこでもしていたようですが、訓読みを体系づけて日常的に使用している国は日本だけなんだそうで、そこからして目からうろこでした。

中国では漢字は意味より音の方が重視され、現在使われている簡体字も意味ではなく音が同じもので代用しているんだそうな。なるほど、それで「なんでこれでこういう意味になるの?」ってのが多いのですねえ。

逆に日本では漢字は意味の方が重視されて訓は意味の方に寄り添った使い方。
しかし、長年の間にいろいろな紆余曲折を経て、最初とは全く違う意味で使われていることもそうな。

読んでいるといろいろと、へえええ、な事柄が多くて興味深かったです。

世界で一番訓読みされているのはアラビア数字である、とか。トリビアですな。
だけどアラブ世界の数字は世間一般のアラビア数字とは違うのですー、ということも書いてありました。うん、それは習った。

日本で独自につくった国字も、意味の方から作った字が多いそうです。
あと、ひとつの言葉にはひとつの漢字をあてがうという法則が働いて、もともと二文字だったのが部首に縮まって一文字になった、というのが面白かった。

インターネット時代の造語などにも触れてありちょっとびっくりしましたが、著者はJIS規格だのの選定に携わっている方だそうで、それならば当然か。

めずらしく新聞の書評欄でみつけて読んでみた本です。
ひとつひとつの事例の部分はすこし面倒くさくなりましたが、これまでなんとなく感覚でやっていた漢字表記を具体的に説明してもらって、腑に落ちることが色々で面白かったです。

以下は目次。


はじめに

第一章 訓読みの歴史
 訓読みとは何か/訓読みを体系的に行うのは日本だけ/日本での訓読みの始まり/時代によって移り変わる字義/日本語と結びついて変化した字義/国訓と国字

第二章 音読みと訓読み
 音読みの世界/訓読みの効用の例/専門用語と訓読み/音読みと訓読みの境界/音訳と訓読み/音訓の交替/「ポータラカ」が「晃」に/「時計」――湯桶読み

第三章 多彩な訓読み
 大げさな字の訓読み/町や村の読み/固有名詞の訓読み/幽霊文字/読まれない漢字/長い訓読み/数字の訓読み/ローマ字の「訓読み」/世界の文字と日本の訓読み

第四章 訓読みの背景
 机/蝕む/「かげ」と「ひかり」/もえる/皿/入/する/木/「いそぐ」と「いそがしい」/なみだ/たま/まつりごと/もみじ/ばら/でこぼこ/すばる/場/炒/雷/オンス/ノック

第五章 同訓異字のはなし
 同訓異字/誘と哘/貰うと囉う/卵と玉子/風と風邪/「初め」と「始め」/「堀」を「掘る」/「明らか」と「諦める」/「極める」と「決める」/「書く」「掻く」「描く」/うるさい/妖と艶/色々な「くろ」/わけ

第六章 一字多訓のはなし
 一字多訓/空/生/上下/男と女/打つ/匂/蛙/戦/禿

第七章 漢字政策と訓読み
 訓読みと送り仮名/振り仮名・ルビ/口語と訓読み/漢字仮名交じり文と訓読み/訓読みの危うさ/漢字表と訓読み/名乗り訓/日本人の姓

第八章 東アジア世界の訓読み
 中国における「訓読み」事情/朝鮮・韓国における「訓読み」事情,ベトナムにおける「訓読み」事情

おわりに

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