『空想オルガン』

空想オルガン
初野 晴
4048740970


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読了。

全国大会を目指す弱小吹奏楽部のひと夏を軸に、日常の謎とからみあう人間ドラマを描く、ミステリ短編集。ハルチカシリーズ、三作目。

収録作品は以下の通り。


序奏
ジャバウォックの鑑札
ヴァナキュラー・モダニズム
十の秘密
空想オルガン



はー、面白かった。

あっというまに最新作までやってきてしまいました。
これは近年の私にはたいそう珍しいことです。というのも、図書館でシリーズ物を借りるとたいてい何ヶ月も間が空いてしまうからなのですが。
しかしまだそんなに知名度がないのか、このシリーズはすいすいと続きが読めるほど簡単に借りられたんですねえ。

でも、とても楽しいシリーズです。

元気なフルート初心者、チカちゃんこと穂村千夏視点でおもに語られる物語は、テンポよく登場人物も常連になって掛け合いが軽快。お話の意外な展開や謎の奇想天外さ、そこにまつわる人間ドラマの足のついた雰囲気等々、読んでいてよい意味で裏切られるここちよさ。

冒頭、チカちゃんの語りが過去を追想するものになっていたため、物語との距離がほんのすこし遠ざかって、郷愁めいた感じがしたので、いくぶん向かい合う真剣度も増したかもしれません。

チカちゃんは始まってみればいつもどおりの猪突猛進。
多士済々なゲストもインパクト十分でした。
ハルタがすこし元気がないようでしたが、決めるべき所は決めてたし。

吹奏楽部の面々の青春真っ盛りながんばりっぷりと、同時にかれらが直面する奇妙な出来事は、いつもどおりのお話ですが、かれらとはかかわりなく交差していく出来事が、おなじだけの比率で展開していくのは、どこかドキュメンタリーをみているような、不思議な感覚をもたらすお話でした。

今回は、前巻で期待した草壁先生関係ではほんのぽっちりとした進展しかなかったですが、これまで謎に包まれていた(?)ハルタの家族が登場して、それがまたたいそう衝撃的なお方だったので、びっくりすると同時に笑い転げてしまいました。

お話や道具立て、臨場感などはとてもリアルなのに、キャラクターはかなりデフォルメされてるのが、このシリーズの愉快な所だなと思います。

チカちゃんがすぐに話相手とつかみあいを始めるのは、もうお約束ですねw

吹奏楽部はどんどん成長してて、つづきがとても楽しみです。

シリーズ開幕編はこちら。
退出ゲーム (角川文庫)
初野 晴
4043943717

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