『トワイライト・ミュージアム』

トワイライト・ミュージアム (講談社ノベルス)
初野 晴
4061826506


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読了。


天涯孤独な少年・勇介は、十四歳の時、ひき逃げ事件の犯人逮捕に貢献したことをきっかけに見つかった大伯父に引き取られることになった。養護施設のお別れ会で夢見ていた平凡な一生が叶うことに安堵していた勇介は、仲の良かった六歳児のナナから「うらぎりもの」とののしられた。ところが、大学教授だった大伯父の如月は勇介と養子縁組みする前に急逝してしまう。かれに残されたのは大学に行けるくらいの資産と、収集物が豊富なのが取り柄の博物館だった。そこで如月を中心としてとあるプロジェクトが秘密裏に行われていたとしったとき、勇介に会うためにひとりで外出したナナが交通事故に遭ったという報せがとどいた。



読み終えてほわあ、と思いました。

SFのように仕立ててありますが、ミステリで、ミステリなんだけどリアルな中世イングランドの歴史物にもなってて。

でも中心は、孤独な魂の持ち主たちの切実な結びつきと絆、信頼関係のものがたりだったなーと。

主人公の勇介・十四歳と、ナナ・六歳の孤児ふたり。
そして、勇介に心を開くはかなげな雰囲気を持つ女性・枇杷の痛々しいほどの存在感。

そして、社会的な弱者が虐げられるというデビュー作からつづくテーマと、めくるめくイリュージョンの世界が、今回は中世イングランドで展開されます。

本の裏カバーに書いてあるので書いてしまいますが、この本、タイムトラベルミステリなのですよ。

そのタイムトラベルの仕方が独特です。
こういうやり方を初めて読んだわけではありませんが、“命綱”という存在がユニークだなと感じました。

さらに、勇介と枇杷のふたりで立ち向かう困難がそれはそれはハードなので、手に汗握り息を殺して悲鳴を上げつつ読みつづけました。

とくに枇杷にしいられる肉体的な苦痛が……。痛いのが苦手なひとには辛いかもです。

でも、わたしにはたいそうおもしろかったです。
とくに中世イングランドの風俗や光景がリアルに感じられるシーンにわくわくしました。

ちょっと残念なのは、ラストに向けてが駆け足気味だったところ。
短編を加筆修正したものだそうですが、それでもまだ、知りたい所というか書いて欲しかった所というか、つまり物足りない部分が残りました。

もしかして、シリーズ化を視野に置いた終わりだったのかしら。

それならつづきが読みたいところですが、ふたたび枇杷が辛い目に遭うかと思うと、それもためらわれるような。うーむ。

とりあえず、これでしばらくつづけてきた「初野晴」一気読み(わたし的には)はいったん休止します。図書館での予約待ち数が、だんだん多くなってきてすぐには届かなくなってきたのです。
現在一冊予約中ですが、読めるのはいつになるかなあ。

ノーマジーン
初野 晴
4591126145

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