『ザ・ロープメイカー 伝説を継ぐ者』

ザ・ロープメイカー―伝説を継ぐ者 (ポプラ・ウイング・ブックス)
ピーター ディッキンソン Peter Dickinson
4591092895


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読了。

力を持たずに生まれた少女が故郷を守るために祖母と旅に出る、引き渡すものと受け継いでいくもの、流れていく時間を感じる異世界冒険ファンタジー。


十八世代もの間、万年雪と魔法の森によって隔てられ、歴史のない時を過ごしていた谷。しかしその年、雪はなかなか降り出さなかった。歌を捧げに森に入ったまま戻らない母親を探すため、後を追った少女ティルヤは、一族につたわるヒマラヤスギの声を聴く力は妹が受け継ぎ、自分は故郷を離れなければならないことを知って衝撃を受ける。悲嘆に暮れるティルヤを、祖母ミーナは冬の集会につれていった。そこで川に歌を捧げる一族の老人アルノーとその孫タールに出会い、谷を守護する魔法が弱まりはじめていることがはっきりとした。森と川の防御を失えば、谷は再び帝国と騎馬民族との争いの場となるだろう。谷の民もほとんど信じていない言い伝え・魔法使いアサーテの物語にしたがい、ミーナとアルノーは谷を旅立つことを決意し、ティルヤもタールとともに同行することになった。



ものすごく、面白かったです!

故郷を救うための方法を求める旅という探求譚であると同時に、ひとりの女の子が自分自身を認めるまでの、自己確認と自己肯定のお話。

しかし、なんといっても楽しいのは、旅の道連れがおばあさんとおじいさんであること。

むしろヒロイン役はティルヤの祖母ですといっても通りそうなくらいミーナが大活躍しています。盲目のアルノーも孫のタールをこき使ってます。

このふたりが活躍するだけでなくこのふたりにふりかかる事件もまた、主人公クラスの大イベントwww

人懐こく、考える頭を持った少年タールの存在は、ふつうの話なら老人たちが果たしそうなクッション役ですねwww

いっぽう、途中までのティルヤは、頑固な馬(これもわたしの萌えポイントだw)のキャリコの世話に忙殺されてるか、ミーナのテンションの高い言動にハラハラしてるばかりで、魔法の力を持たないこともあり、一緒に旅をしていながら傍観しているシーンが多いです。

でも、そのすべてが、のちの展開に生きてくる。
そもそも話の冒頭でティルヤは自分に絶望しているので、しばらくは準備期間ということなんでしょうね。
ティルヤが目覚めていくにつれ、話が核心に近づいてどんどんおおきくふくれあがっていくあたり、興奮しました。もうページを繰る手を止めたくないという感じ。

帝国の制度には大変あきれましたが、どれもこの世界の魔法的には理にかなってる。
魔法の仕組みの設定は幻想譚よりもSFに近い理屈っぽいもので、作者がミステリ作家でもあるからかなーとおもいましたが、魔法の分類にはうなずけるものがありました。

それでこの物語世界が、すみずみまで作者によってつくりだされたものなんだなーという、だれかが作ったものを拝借したものではない、世界の創造からはじめたというじつにファンタジーの根本というか、王道な物語なんだなと思いました。

そんな様々な要素を詰め合わせながらまったく窮屈にならず、流れるように進んでいくストーリーは、起伏が大きく、多彩で、なのに若い層向けであることを怠らないまっすぐでシンプルな語り口。

波乱万丈、驚天動地な物語に、読み終えてしばらく余韻に浸り、感慨にため息をつきました。
面白かった、たのしかった、ドキドキした、わくわくした。
そして、しみじみしました。

歴史を受け継いでいくことの大切さと大変さに。

しかし、やっぱり、ばばさまとじじさまと馬! ですよ、この話は。うんwww

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