『《呪肉》の徴 グウィノール年代記1』

“呪肉”の徴―グウィノール年代記〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011311


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読了。

忌み嫌われ、迫害される“徴”を身に帯びた少女と公女、ふたりのヒロインの異世界ファンタジー。
シリーズ開幕編。


両親を失い伯父の家に厄介になっている少女メルは、三月前から腕に出来た気味の悪いものに不安を募らせていた。それは《呪肉》と呼ばれて嫌われるよくないもののように思えたからだ。《呪肉》憑きは畸端検査官に連れてゆかれたきり、人の噂にも上らない。なんとかして腕を元に戻そうと、ひそかに街のすべての祠に願を掛ける一日参りを敢行したメルだが、あと少しという所でなんと畸端検査官と出くわしてしまった。窮地に陥ったメルを救ったのは、二脚竜に乗った少女アラストリナ。変わり者と噂されるダルモリカ公国の大公家ハイナマシーの娘だった。



これはとっても面白かったです!

自分の意志を持って貫き通そうとする少女メルと、やんごとなき生まれながらずっと信用できるものがいない環境で育った孤独な少女トリナ。

対称的ながらおなじ悩みを抱えたヒロインふたりの出会いからしてスリリングですが、彼女たちの住む公国、ひいては物語世界の生き生きとしたあらましがなんとも素晴らしい。

とくに、異世界ファンタジーによくある中世西洋風の世界の借り物ではなく、独自の環境、歴史、そして不思議が丹念に描かれているところが嬉しいです。

象徴的なのが《呪肉》と呼ばれる古代人の呪い。
それは突然、人にも植物にも動物にも現れる可能性のある、徴。

その詳細は読んでのお楽しみということでここでは省きますが、これがとても奇怪で、ひとびとから恐れられ、忌まれるのも仕方がないと生理的に思わされる変化であることが、擦れたファンタジー読みのわたしにも、おおっと思わせてくれました。

いまやセカンドサイトごときではだれも驚かないものなー。
むしろ、その事で悩む主人公にさっさとカミングアウトすれば、なんて感想を平気で言っちゃうような世間になってしまったのですよ。

みんなが気味悪いと思うから差別するのよってことを肌で感じさせてくれるこの設定は、勇気があるなと思うと同時に、なんとなく昔の、まだSFのおまけとしてしか認識されてなかった頃のファンタジーの独特さを彷彿とさせてくれてなつかしかったです。

これ、呪いが呪いとして処理されず、きちんと理論があったらSFになりそうだなーと思ったり。

それと、呪いが反転すると恩恵であることは常道で、この作品でもそのこともきちんと書かれてます。
ところが、それを補ってあまりある異形感。便利に使われたりせず、呪いによってもたらされる力も人々の忌避感を増すものとしてあつかわれます。ので、そのことを《呪肉遣い》たちもひた隠しにしています。

このあたり、作者さんはどこかグロテスクなものを描くのがおとくいなのかなとわたしは勝手に思っているのですが、その資質が遺憾なく発揮されている。

読みながらぞくっとしつつ、同時にドキドキ興奮している自分を感じましたw

しかも、ヒロイン以外の登場人物も魅力たっぷりで、とくにトリナの従姉妹・美しきダルシベラ姫の異様な存在感が圧巻!

次巻のタイトルロールでもあるダルシベラからは、怖いものみたさから目が離せませんwww
(ちょっと意味は違うけど「クシエル」シリーズのあのひとを思い出しました)

というわけで、《呪肉》のメカニズムや呪いの正体をもっと知りたい、という好奇心と、ヒロイン二人の波乱万丈なこれからを想像して、わくわくです。

つづきをすぐに読んでしまいたいのだけど、まだ完結はしていないのですよね。
たっぷりひきのばして楽しもうか、さっさと読んでつづきを首を長くして待つか、どちらにしようか悩んでおりますww

それと、ちょこっとしか出てこないんだけど、竜が! 竜が!
わたしも竜に乗りたーい!

妖姫ダルシベラ - グウィノール年代記2 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011540

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