『ほんとうのフローラ 上 一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事』

ほんとうのフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イザボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013414


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読了。

奇想天外ドタバタ異世界ファンタジー、『二番目のフローラ』の続編。


カリファ国で魔法執事の管理する屋敷を持つ名家のひとつフュルドラーカ家の一員ながら、母親が魔法執事を追放したせいで家事いっさいを背負っていた少女、フローラ。魔法と陰謀の絡む一大事件を乗り越えて十四歳となった彼女は、家族の和解ののち大幅に改善された状況を満喫しているはずだった。ところが、軍隊に入らない宣言は母親に留保されたまま、正気になった父親は暴君として屋敷に君臨し、フローラを部下のように取り扱い、命令拘束し、軍事教練まで施す始末。秘密部隊に入りたいフローラは反体制派のリーダー、ファイヤー・モンキーに魔法を学ぶため、夜中に友人のウードとともに反体制派のリーダーであるファイヤー・モンキーの出演するクラブへとむかうが、トイレにあらわれた奇怪な触手に襲われたうえ、反体制派の暴動に巻き込まれてしまう。



次から次へと湧いてくるアクシデントに罵りながら立ち向かうフローラの、悪戦苦闘のドタバタ冒険ファンタジーの続編です。

飛んでもない設定とぶっとんだ登場人物によってめまぐるしく展開するストーリーに、フローラと一緒に翻弄されるのがこの話の正しい読み方……なのかなあ(笑。

フローラは伝説となった秘密部隊の隊長ニニ・モに心酔する女の子。
あらゆる困難にニニ・モの自伝(暗記している)をひもといて雄々しく対処しようとし、かなり無謀なヒロインです。そこからしてもう、普通の女の子のかわいい冒険に収まらないのは明らか。

この無謀で頑固なヒロインを生み出した両親もまたふつうではなく、母親のバックは多忙を極める陸軍大将、父親のホットスパーは過去の痛手からよみがえった今は激烈な性格をあらわにし、家と娘を軍隊式に律しつくそうとする退役軍人。

姉のイデンもフュルドラーカ一族の伝統にのっとり軍人となって地方の砦に駐屯中。

軍人にはなりたくないフローラは秘密部隊の隊員になるべく、魔法言語の習得に向けて行動を開始します。

フローラと一緒に行動するのは幼なじみの少年ウード。イカレタおしゃれ好き。
かれは前巻では無謀なフローラをひきとめようとする役だったのですが、最近たくさんの弟妹の世話をするのに飽きてきたのか、やさぐれて道を踏み外そうとしている所。

というふうにフローラの個人的な事情を軸に話は進みますが、背後にはウィツィル帝国の植民地一歩手前のカリファ国の政治的な状況と、かつて隆盛を誇ったものの没落した名家の残した魔法の負の遺産がうごめいていて、双方の波が危機的に高まった所にいあわせたフローラは、突然いまいましい日常から、死と隣り合わせの非日常にふっとばされてしまうことに。

この、ふたつの流れがぜんぜん関係ないようでいて、ときに絡み合ったり、並行して進んだりするあたりが、興味深いです。この話、魔法がぜんぜん神秘的じゃないんですけど、そのごちゃまぜ加減が不思議な感覚をもたらしてて、面白いなーと思う。

それに、前作に引き続いての出演となる、もとウィツィル帝国の妖術使いアクサカヤ卿がすんごく魅力的で、かれの登場シーンにドキドキしてしまいます。なんとかれのお供はケツァールなんですよー。

アクサカヤ卿とフローラの接近に対するパパの反応が笑えました。

それと、ウードが一目ぼれした女の子ズズのいけすかなさときたら天下一品www

おかげでウードの無軌道ぶりに拍車がかかってこちらもまた飛んでもないことになっちゃって。まあまあ。

はたして、フローラは数々の困難を克服してカリファ国を救うことができるのか。
そして念願の秘密部隊に入ることができるのか。

姉のイデンの消息は。

話の落ち着く所を含めて数々の疑問を解決するため、はやいところ下巻を読みたいものでございます。

ところで、魔法執事のバレフォールがすっかりしぼんじゃっててちょっと可愛そう。
なんて思ったのは間違いでした;

ほんとうのフローラ 下 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
イザボー・S・ウィルス 杉田 七重
4488013422


家族が自分勝手にふるまうので迷惑するけど、負けずに自分勝手に突き進む主人公と、ドタバタ展開でにぎにぎしいストーリーが、ちょっとダイアナ・ウィン・ジョーンズに似ているような気がするのですが、するだけかな;

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