『妖姫ダルシベラ グウィノール年代記2』

妖姫ダルシベラ - グウィノール年代記2 (C・NOVELSファンタジア)
縞田 理理 春乃壱
4125011540


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読了。

魔法のある物語世界とそこに住む生物たちがいきいきと描かれる、ヒロインたちの冒険異世界ファンタジー。シリーズ第二巻。


忌み嫌われる《呪肉》のもたらす力のおかげでダルモリカ公国大公姉オルウィナによる政変を逃れた大公の姪アラストリナと侍女メルは、首都シャナキャスケルから伯父のいるラスモリオン公国へ、《遺物捜し》ガウアーの道案内で荒れ地をゆくことになった。巨大な長虫・丘引蟲の襲来、厳しい気候、歩きづめの後の野宿と慣れないメルにはきつい日々が続く。そんなおり、水の補給に立ち寄った帝国の遺跡で三人はさらなる窮地に陥った。いっぽう、カシェンドン大公家の三男に嫁いだオルウィナの娘ダルシベラは、その美貌と身につけた針の修練で母親のいいつけを果たすために宮廷内を暗躍しはじめる。



第二巻は一巻に増して面白かったです!

都シャナキャスケルから逃亡し、荒野を行く若者三人組の道行きは波乱の連続。
年上の統率者を失って、頼りになるのだかならないのだかいまいち不明なガウアーの道案内にすべてを託すしかない状態。
ガウアーの能天気な明るさと、少女たちのおたがいを気づかう気持ちが支えです。
トリナとメルの間にはダレも入り込めませんねwww

冒険ファンタジーそのものの展開をするトリナ&メルの荒野パートとはべつに、ダルシベラとカシェンドン大公家の娘ブリュニェをメインにすすむ宮廷パートは欲望と陰謀の渦巻くサスペンスフルな展開です。

一巻ではその美貌と裏腹の性格の悪さがきわだっていたダルシベラちゃんですが、意外に無垢な一面を見せてくれます。けっこうかわいいです。しかし、そのぶんだけ彼女の行為の恐ろしさが際立つという展開になっておりまして、一般人代表のブリュニエちゃんと一緒にブルブルと震えて読むのがよいのではないかと思われます。

かわいいと怖いは両立するのですね……!

個人的に針というのがそれだけで、イヤーーーーッと叫びたい代物なので、「バターのように埋め込まれる」とかリアルな描写にひえええええっと怖気を震ってました。ひいひい。

いったいどこでこんなわざを身につけたんでしょうダルシベラ。
あの母さんが英才教育を施したんだろうけど。魔法ではないから帝国とは無関係なのかなとは思いますが、修練という表現がコワイ。
修練というからにはそれによって達成する目的がなにかあるのだろうと推測しますが、それがなにかを考えるのがコワイ。
きっとオルウィナ母さんの希望に沿っているのですよね、そうですよね、オルウィナさん激コワイです。

それと次第に、というか正直に言うとけっこうはやいところで明らかになってくる旧帝国の事実がまたコワイ。シビアー。そしてグロいです。

滅びた文明とともにうしなわれた魔法、という設定だと、旧帝国の遺物やそのわざを受け継ぐものがなにかと神格化されがちなのですが、このお話の場合はそこで意表をついてます。

そして、歴史は生きのびた者たちの都合で編まれていき、ことなる種族間の相克は視点と状況による利害関係の違いから生まれるのだなー。たいそう現実的です。

奇想天外なファンタジーであることと、地に足のついた物語であることは、まったく矛盾しないのだよなあとしみじみと感じ入る次第です。

異世界ファンタジーであることの意義を中心に据えた大きな物語になりそうですね。

それから印象的なのは、人間以外の生き物の描写がこまやかなこと。
家畜や怪物や化け物もどきも質感を感じとれるように描かれていて、きちんとこの世界に生きているのが感じられます。

それで気づいたのですが、作者さんの作品では異形も彼岸の住人ではなく、人間とおなじこの世界に住む者として描かれるのだなということ。
死者やなにかの象徴ではなく、生物の種類のひとつのように存在するのですね。
だから、わたしのようなファンタジーにどっぷりとつかってきた人間にはSFみたいな感触を受けるのかもしれません。

そういえば、昨今ひろがりつつあるパラノーマルファンタジーにはそういうところがありますね。
パラノーマルの世界では、吸血鬼も人狼も、かつて異人種との間にあった意識の隔たりを描くための新たな装置みたいなところがあるような気がします。

もうひとつ、帝国人のしていたことは今現在人間がしていることに重なるのですね。
「いのちドラマチック」とか「銀の匙」とか、思い出してしまいました。
たぶん、帝国人がとりたてて残酷だったわけではないんだな。
そういうものだと思っていれば、そういうことをするのが当然だと思うのがふつうなんだろうな。
と感じました。

閑話休題。

完結編の第三部は、四月に発売予定だそうです。
どうやら舞台は再びシャナキャスケル。
トリナとメル、ダルシベラとブリュニエ。ヒロインたちの今後がすっごく楽しみなのです!

そしてこっそり弥勒様(犬夜叉の)状態なガウアーの行く末も心配していますw

魔城の乙女 - グウィノール年代記3
縞田 理理
4125011966

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