『ロシアの神話』

新版 ロシアの神話
フェリックス ギラン
4791752767


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読了。

原著は1935年刊の『世界の神話』。
翻訳は上記より「スラヴの神話」「リトワニアの神話」「スグロ=フィンの神話」を抜粋したもので1960年にみすず書房から刊行され、後に1983年に青土社より改訳新版されたものの新装版。

あの広大なロシアに住むたくさんの民族の精神世界をひとつにまとめた本なんてあるのかなあ、と疑問だったのですが、そういうわけでした。

しかも、厳密にはいま現在ロシアに住んでるひとびとの神話ではないような。

あ、ソ連崩壊前に出た本だからソ連イコールロシアということだったのかな。

でも、スグロ=フィン族でおおきく取り上げられてるのはフィンランドのカレワラだしなー。
とりあえず絶対的なロシアというものはやはり存在しなかったという認識に至りました。
まあ、日本民族とかいってもけして単一ではないので、ロシアでそれがあるわけがないよね、ということで。

しかし、このスラヴとリトアニア……文中ではリトワニアですが、神話の前提が全然まるでちがうよね。見えてる世界そのものがちがう。

わたしにはスラヴの方がより異質で、リトワニアの方が共感しやすかった。リトワニアの太陽神は女性なんです。月が男性。でもなにより森が一番大きな存在なんですね。

スグロ=フィン族はまず天という偉大な存在がいて、というあたりになんとなく中国っぽい雰囲気を感じたり。

そういえば、キエフはヴァイキングが建てたものだと書いてありましたね。たしかそういう本がサトクリフの物語にもあったような気がする。
スラヴの精神世界は記録として残される前に北欧神話とキリスト教の追加物件で強烈に型押しされてしまったように思われます。

リトアニアはヨーロッパで最もサンスクリット方言に近い言葉を持つ古い民族だとか。
田園に暮らし、他民族から頻繁に攻撃されてきた過去があって、あまり記録が残っていないということは、勝者ではなかったって事なんでしょうねー。

対して、スグロ=フィン族のフィン人は、民族のよりどころとして叙事詩「カレワラ」を集成します。ただ、時代が下ってからの編纂だったため、さまざまな他の要素が混じり混んでいて、原形を抽出するのは難しいらしいです。

人は移動し、影響しあうものですからこれは致し方ないことでしょうねえ。
根っこの部分は容易に変わらなくてもそれは表には出されないわけで、土地の風習や風俗などを丹念に洗い出していって初めて違いがあきらかになるのでしょう。

内容は概論的で記述に古さを感じる部分もあり、たとえばキリスト教ではないという理由なんでしょうけど、すべて「異教」と記すあたりに違和感がありありで、さらに固有名詞が傍点付きで表記されるのがみづらく、読むのがしんどかったですが、とても興味深い内容でした。

スラヴ史やリトアニア史、フィンランド史などを知っているともっと理解しやすかったかも。
てもとにおいて、探索の出発点にしたいような本でした。

この神話を下敷きにして異世界ファンタジーをだれか書いてくれないかしらー。
そしたらもっとわたしにも理解できる←おい!www
とくにリトアニアは面白いと思うのですよwww

以下、目次です。


スラヴの神話
 序論
 神々の誕生、原始的二元論,《ベロボーグ》と《チェルノボーグ》
 自然崇拝、田園の神々、「天」とその子供たち
 マーチ=スィラ=ゼムリャー(母なる湿潤の大地)
 田園の小神格たち,ドモヴォーイ
 人家に住む他の精霊たち
 レーシィ
 ポレヴィーク
 水の精霊、ヴォジャノーイ
 ルサールカ
 都市と戦争の神々
 歓喜の神々
 キリスト教時代におけるスラヴの異教神話

リトワニアの神話
 序論
 自然崇拝,聖なる森,樹木崇拝,動物崇拝,死者たちの魂,火への崇拝,天体
 リトワニアの主要な神々
 二次的な神格たち,小神格たち

ウグロ=フィンの神話
 序論
 《カレヴァラ》
 魔術とシャーマニズム(巫術),《カレヴァラ》に現れた魔術
 《カレヴァラ》の神々,天上の神々,世界の誕生,大地と水の神格たち,《カレヴァラ》の地獄,《カレヴァラ》の神話学的価値
 ウグロ=フィン族のアニミズム,物の持つ魂,神々の群,水の精霊たち,神話,ラップ族のセイダ
 結論

 訳者あとがき
 索引



そういえば、リトアニアだったかな、『金枝篇』の記述が思い出されるような部分がありました。
『金枝篇』は途中で放り出したままなので、つづきを読まなきゃと思いました;

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