『メキト・ベス漂流記 最後の旅』

メキト・ベス漂流記 最後の旅 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ
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読了。

海と人のかかわりを壮大なスケールで映像的に描く、異世界海洋冒険スペクタクルファンタジー三部作の完結編。


人減らしのために貧しい故郷ダルキース島をはなれた少女エマと少年ナオ、そして不思議な力を持つ銀の若者メキト・ベス。王家の力を乱用する国王との対決で呼び起こされた嵐に巻き込まれたかれらは、気がつくと百年後の世界に飛ばされていた。国王の利己的な行為で寒冷化した世界を目の当たりにし、かれらはともに漂着した黒の旗艦のスペシダレル伯爵、ニール・ゴー元艦長とともに、衰亡していく世界を救おうとしていたメキト・ベスの行為をようやく理解した。変わり果てたベルヌン島で情報を仕入れたかれらは、現在の国王とその宮廷が存在するという首飾り諸島をめざすことにする。その海路の途中にはエマとナオの故郷、ダルキース島があった。



面白かったです。

ディテールまで作り込まれたシビアな世界観と人間ドラマがどこまでもストーリーに殉じていく作品で、お話そのものも非常にストイック。
そぎ落とされた展開の中、それでも、押さえるべき点はきちんと押さえている。
そんなにストイックなのにドラマはものすごく劇的で、文字通りなだれうっての展開の果ての怒濤のクライマックスには大興奮しました。

もともと映像的な作品だなと感じていましたが、ほんとうに映画のようなお話でした。
それも、まるで大作映画を見たようなずっしりとした読後感。

この壮大な物語を三冊で書ききった作者さん、すごいです。

そして、なによりも帆船が活躍する海の鮮やかで躍動感にあふれる描写がすばらしい。
これ、アニメにぴったりの作品だなと思うのですが、テーマもNHKあたりでアニメ化してくれてもよさそうな感じだし。

登場人物の描き方は地に足がついていて、ラノベを読み慣れた人にはその点が物足りないかもしれませんが、むしろ妄想の余地はたくさんあると思います。
映像としてみれば、文章的には地味だった登場人物にも萌え要素が潜んでいることがわかると思うのでw
メキト・ベスの銀の容姿とか、スペシダレル伯爵の黒マントとか黒マントとか!www

余談。
これ、異世界ファンタジーと銘打ってるけど、わたし的には異世界SFだなーと感じます。
なんとなく、過去の負の遺産を清算して未来を救おう、そして試行錯誤、みたいな展開だとわたしはSFを感じるみたいです。
同じ作者さんの別シリーズも、そんなふうに感じたっけ……。

あと、王家の力のもともとの発端がもうすこし具体的に知りたかったかな。

ともあれ、絶体絶命のピンチにむちゃくちゃにゆさぶられつつ、息も絶え絶えにたどりついた終着点が希望のある場所でよかったです。

シリーズ開幕編はこちら。
メキト・ベス漂流記 背中の紅い星 (カドカワ銀のさじシリーズ)
西魚 リツコ 橋 賢亀
4048741713

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