『夢の遠近法 山尾悠子初期作品選』

夢の遠近法 山尾悠子初期作品選
山尾 悠子
4336052832


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読了。

磨かれた石のような言葉で描き出される見たことのない景色に息を飲む、幻想中短編集。



夢の棲む街
月蝕
ムーンゲイト
遠近法
童話・支那風小夜曲集
透明族に関するエスキス
私はその男にハンザ街で出会った
傳説
月齢
眠れる美女
天使論
自作解説




ストーリーではなく現象そのものを受け止めていくような読み心地の、とても独特な味わいの作品集。

なかでもわたしは、ひとつの世界の終わりが描かれるお話が好きです。
「夢の棲む街」「ムーンゲイト」「傳説」などですね。
使われている言葉の概念以外にはなにも思考を誘導することのない文章に、自分がその世界で起きているさまざまな現象を直接まのあたりにしているかのような気分になりました。

なにが起きているのか、すぐには、いやあとになってもよくわからない。
けれど、脳内に描き出される光景は細部に渡って鮮明で、ときに美しくときに奇怪でたいそう魅力的。

奇怪といえば、「透明族に関するエスキス」。
これはほんとうに記された言葉をどれだけ忠実に脳内に映像化できるか、という点がポイントのお話。
透明族、作中では侏儒とかかれるそれの風に吹かれてただようありさまがとてもシュールで、なのに突然なまなましくてショッキングでした。
うわあ、何コレ。て感じw

あと、いったいどうなってるのか全然わからないようっ、て悲鳴を上げたのが「遠近法」。
SFっぽいイメージが一番色濃いけど、SFかと問われるとうーむとなります。

正直、万人にお勧めというわけにはいかないような気がしますが、すくなくともわたしはたいへんに楽しんで読みました。
言葉の芸術ってこういうのをいうのかなあ、言葉の生み出す幻想のちからに陶酔しました。


この本は『山尾悠子作品集成』の軽量版をめざして編集されたそうです。
たしかに、いきなり「集成」は敷き居が高すぎますね;

山尾悠子作品集成
山尾 悠子
433604256X

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