『北の舞姫 芙蓉千里II』

北の舞姫 芙蓉千里II
須賀 しのぶ
4048740687


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読了。

明治時代、列強のせめぎ合う大陸へ進出する日本を背景に、哈爾浜で芸妓となったひとりの娘の恋と冒険をドラマティックに描く歴史ロマン。シリーズ第二巻。


哈爾浜の女郎屋〈水芙蓉〉最初で最後の芸妓となったフミは、二月革命により混乱状態になったロシアへの進出への足がかりをつかもうと列強諸国が必死な中、日本軍の接待に駆り出され、無理な要求にも応じていた。それというのも、革命による暴力から脱出した大量の芸術家たちが哈爾浜にやってきたからだ。日本の粋だけでは生き残れないとさまざまな舞に取り組むフミだったが、黒谷の誘いで赴いたバレエのプリマドンナ、エリアナの舞台に衝撃を受ける。そんなおり、黒谷の弟・武臣が訪れて兄と別れろと要求する。大げんかをする二人だったが、武臣の残したフミの舞に対する一言がそれまでの違和感を決定的にした。フミは舞えなくなってしまったのだ。



面白かったですー。

アグレッシヴなヒロイン。
激動の世界情勢が深く関わってくるシビアな物語展開。
周囲の人物との濃密な関係。

舞えなくなったフミの取る行動が、衝動的なうえに大胆で、それだけ舞に懸けていたのだなとつたわりました。それから自分の舞をまっさらにして始めから作りあげていく過程も、これぞ芸人魂みたいな命がけのもので面白かった。ここらへんはお約束な展開だけど、だからってつまらないわけじゃなくてむしろものすごく安心して楽しめた部分でした。

だって、その他は面白いことは折り紙付きだけど手に汗握ってハラハラドキドキなシーンばかりが疾風怒涛なんですもの……。

歴史的な事実を容赦なく組み込んであるので、つねに暴力と貧困と死と隣り合わせの過酷な状況がひしひしとつたわってきます。
日本人もこんな修羅場を生きのびてきたんだな……。そして、社会はいつこんなふうに危険で不安定なものになるかわからないんだな……。

ひとつの社会システムがくずれさり、あらたにどんな社会が構築されていくのかもわからない、なにもかもが不確かな混乱期に、フミは自分で考えて自分の足で歩み、自分の行動の責任は自分で取る。ひとによりかからない。その覚悟をもつ潔さ、強さにしびれました。

共産党革命前後のロシアについての史実を知らなくても、お話はそれだけで面白いですが、すこしかじったあとで読んだら、とても深いところで物語と直結してるのがわかるのでなおいっそう楽しめました。

フミのお相手としては、黒谷さんと山村さんのふたりも健在です。
紳士的なパトロンと野性の荒々しさをもつ馬賊と対称的な魅力のふたりだけど、どちらもどこかでヘタレなんだよね。
この話の登場人物は、どのひともきちんと役割を果たしてそのうえで生きているのがいいなあと思います。

わたしはウメさんが好きです。
そして、黒谷氏の弟・武臣くんには笑笑笑でした。
面白すぎるよ、君。

シリーズはもうじき三巻が出るそうです。
これで完結なんだそうで。
ええええ、終わるの? という感じ。
読むのがとても楽しみです。

永遠の曠野 芙蓉千里III
須賀 しのぶ
4041102278

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