『宮廷神官物語 運命は兄弟を弄ぶ』

宮廷神官物語 運命は兄弟を弄ぶ (角川ビーンズ文庫)
榎田 ユウリ カトー ナオ
4044491135


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読了。

元気な男の子がさまざまな人間関係の中で成長していく、朝鮮王朝風異世界宮廷陰謀ファンタジー。シリーズ第九巻。


虎を神とする国・麗虎国で、奇跡の慧眼児として宮廷で神官見習いをすることになった山育ちの少年・天青。宮廷を騒がせた立太子も決着してひといきついたところ、そもそも慧眼児が必要とされた元々の問題、次期大神官の選定がつづいていた。天青は警備上の理由により大神官候補にもあげられる鶏冠付きの書生となり大喜びするが、日々を間近に接する鶏冠は沈みがちだった。藍晶王子からの大神官着任要請を固辞しつづける鶏冠は、ある秘密を抱えていたのである。そんなおり、曹鉄を第一王子として皇太后をあやつろうとしていた元神官・苑遊に呼び出された鶏冠は、思いがけない人物と再会する。



安定の筆致と展開で、安心してお話に浸れる、異世界宮廷陰謀劇です。
陰謀劇なんで話はかなり陰湿な展開をするのですが、主人公を始めとしたキャラクターが明るく楽しく描かれているのと、暗いところは読み手の好き好きによって理解度が増すような書き方がされているのとで、それほど陰々滅々とした雰囲気にならないところが好きです。

今回はとうとうシリーズもクライマックスに突入。そもそもの始まりだった次期大神官選定がクローズアップされて、メインは鶏冠に対する苑遊さんの企てに移りました。

からまれつづけてどんどん憔悴していく鶏冠に心が痛みます。

登場時は穏やかな人格者のようだったのに、苑遊さんはじつはかなり屈折したお心をお持ちなかたのようで……というかこれ、ヤンデレ?
図星を突かれて逆上するあたりからも、もう、そうとしかいいようがないような。

ひとりで苦悩しつづける鶏冠に周囲も心を痛めます。
こういうときに打開策になるのは、天青の思い立ったら突撃精神とそれを収拾する櫻嵐姫のフォローです。

はじめのうちは曹鉄がフォロー役だったのに、思いがけないヘタレっぷりをあらわにして以来、わたしにとっての曹鉄株は下がったままです(苦笑。

それを置いても櫻嵐姫の漢っぷりのよさは爽快。

それと、明るくてかわいいやんちゃな悪ガキだった天青が心身ともに成長してると、さりげなく触れられているところがとくに印象に残りました。

子供の成長に大人はふと寂しさを覚えるのですよね。

しかしそれを感じるのがまだ若い櫻嵐姫なのはどういうことなのでしょうか。
このお話で精神的に一番大人なのが櫻嵐姫だからでしょうか。

わたしが一番期待して読んでるのが櫻嵐姫で、そのつぎが紀希ちゃんなのも致し方ないと思います。

文章も話の進み方も安定してますが、こういったひととひととの関わりをこまやかに描いてくれるところが、わたしがこのシリーズを好きなところだなー。

というわけで、話の展開のせいであるとはいえ、受難続きの鶏冠に深く同情しつつ、恒例のコスプレも大いに楽しみ、うわあなんてことだこれからどうなる! なところで次巻に続く、となりました。

つぎはとうとう完結編です。
すでに刊行されてますので、手元に届くのをのんびりと待ちたいと思います。

宮廷神官物語 慧眼は明日に輝く (角川ビーンズ文庫)
榎田 ユウリ カトーナオ
4044491143

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