『終着の浜辺』

終着の浜辺 (創元SF文庫)
J・G バラード J.G. Ballard
4488629113


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読了。

世界の終わりを描く作品を多く収録したSF短編集。


ゲームの終わり
識閾下の人間像
ゴダード氏最後の世界
時間の墓標
甦る海
ヴィーナスの狩人
マイナス 1
ある日の午後、突然に
終着の午後

訳者あとがき




先日読んだ『山尾悠子初期作品選』つながりで借りてみました。
1960年代に発表された作品群なのですが、暗い。とにかく暗いです。

著者自らの資質と核への恐怖が高まっていた時代背景が相まっているらしいですが、読んでしあわせになれる作品集とはけして言えない。

だけど、わたしには強烈に惹かれるものがあるのも事実です。
それは終末へむかう情景のなんともいえない、うつくしいといってもいいような雰囲気と、滅んだもの失われゆくものへの哀切とかに反応しているのかなと思われます。

文章は理性的で情におぼれるようなところはまったくないのに、そのようにつたわってくるのですね、わたしには。

だからわたしの好きなのは「時間の墓標」と「甦る海」なのです。
わかりやすいわー;

その他、まるで現代をそのまま予見したかのような作品。
コマーシャル社会を痛切に皮肉る「識閾下の人間像」、事なかれ主義から事実をねじ曲げてしまうまるでどこかの国みたいな「マイナス 1」、現代の預言者の側近の悲劇を描く「ヴィーナスの狩人」などはどれも心乱されずには読み切れませんでした。

最後の「終着の浜辺」は、もうわたしの理解を越えてましたが、なんというか、途中で止めたいとは思えなかった。読後感はやはり複雑でしたけど。

ディテールにはやはり古くなっているところが多々ありますが、この作家のうみだすヴィジョンには独特のものがあるなあと思いました。
若い頃読んだら、憑かれていたかもしれない。

『アバタールチューナー』関連で『結晶世界』も読んでみたいです。

しかしこの本、最近改題されてカヴァーも新しくなってるので、中身もそうかとの予想は大外れでして、文字が小さい旧版のままだったのでちと読みづらかったです。

昔はもっと活字ぎゅう詰めの本でも平気で読んでたんですけども。歳ですねえ;

結晶世界 (創元SF文庫)
J・G・バラード 中村 保男
4488629024

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