『仮面の貴族 1 道化の使命』

仮面の貴族1 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562108


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読了。

ゆたかな世界設定と複雑な人間関係を背景に、王家の私生児として生まれた男のドラマティックな人生を描く、スケールの大きな異世界ファンタジー。「道化の使命」シリーズの第二部。『黄金の狩人』のつづき。


ヴェリティ王がドラゴンとともに外島人の襲来を退けてから十五年。〈気〉を汚れたものとして虐げたファーシーア一族を恨み、六公国の権力を奪おうと画策するパイボルド一味に誘拐された世継ぎのデューティフル王子を救い出したフィッツは、道化=ゴールデン卿の従僕トム・バジャロックとしてバックキープにとどまることになった。和平のため王子と外島人の族姫との婚約を控え複雑な思惑の交差する城でかつての師シェイドと再会し、ふたたび間諜兼暗殺者とならねばならないことを自覚するフィッツ。王子には王家の失われた〈技〉と隠されるべき〈気〉の素質を導く師となることをつよく期待され、さらに養い子ハップの素行問題にふりまわされたフィッツは、〈俗〉のまじない師ジンナとの関係をずるずるとつづけてしまう。そんなおのれに自己嫌悪を覚えているフィッツの前に、秘密を知るパイボルド一味が忽然と姿をあらわした。



面白かった!

ファンタジーとしての設定が深く物語世界とそこに住むひとびとの存在と、さらには動いていく物語そのものに大きく絡み合っている、スケールの大きな異世界ファンタジーです。

具体的にいうと、〈技〉〈気〉〈俗〉などのさまざまな魔法のありよう。
どうやらそれらは力そのものの一部分みたいですが、その大きな設定がこの世界の人々の歴史、そして現在進行形の物語に深く影を落としていくさまがとても興味深いです。

ファンタジー的な興味もつきないお話ですが、人間たちのドラマも権力争いと陰謀に満ちていてとても泥臭く殺伐としてますがたいそう面白いです。

王子の私生児として生まれ、暗殺者として育ったフィッツももう三十五歳。

かれの幾分ななめな視点から描き出される、宮廷や王家を取り巻く状況は確かに憂鬱で、それと関わらねばならない責務があるといいつつ実態は逃げ腰なフィッツの優柔不断さは歯がゆいものがありますが、かれはそもそも受け身な性格なんだろうなあ。

そんなかれを見守る道化の存在にはフィッツも読み手もたいそう救われます。

それと、夫亡きあと六公国を統べてきた王妃ケトリッケンが素晴らしい。
為政者としての視野の広さ、平衡感覚、現実感覚をきちんともちあわせながらも、芯の通った気高さと善良さ、ゆたかな感情を持ちつづけてる。

ケトリッケンとのシーンではほんとうにしみじみと癒されました。
なんといっても、この話にはもうかれがいないのですよ。
フィッツがふらふらしてるのも、それを考えると致し方ないかと思えます。

そうしてフィッツが足踏みしてるあいだに、物事はどんどん進んでいる模様。

傷心のデューティフル王子は導きを欲し、ハップは見習いを脱落寸前。

外島人の族姫エリアニアとその父親と叔父との関係が謎だし、パイボルトたちは暗躍しているし、王子に猫を渡したレディ・ブレジンガの立ち位置も不明のままで。

シェイドの下僕シックがぶつけてきた力に驚いたかと思うと、フィッツとモリーとの間に生まれたネトルが意外な形で登場。

どうやらフィッツの苦労は当分の間途切れることがなさそうです。

この話のわたしの癒しは、いまのところケトリッケンと〈俗〉のまじない師ジンナの猫です。
猫はフィッツの事情にはまったく関心がなくどこまでも自分勝手なのでとても楽しいですw

よし、感想書いたからつづきを読みますよー。

仮面の貴族2 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562116

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