『仮面の貴族 3 道化の使命』

仮面の貴族3 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562124


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読了。

かつてドラゴンの舞っていた世界を舞台にひとの人生がからまりあって歴史となっていく過程をドラマティックに描く、壮大なスケールの異世界ファンタジー。「道化の使命」三部作の第二部完結編。


神呪字諸島とビングタウンの使節団が帰国した後、迫害されてきた〈気〉を持つ人々との和解を探る六公国の王妃ケトリッケン。だが、ファーシーア一族の復讐と権力からの追い落としを求めるパイボルド一派の残虐な所業により、事態は混迷を深めていた。フィッツの存在もすでに知られており、ファーシーアへの脅迫材料のひとつとなっていたのだ。偶然から内部情報の流出経路を突き止めたフィッツは、バックの街へと向かう途中、血相を変えて馬を走らせるシヴィル・ブレジンガに追い抜かれた。〈気〉を持つシヴィルは王子の友人だが幾度かパイボルトの手先として王子を危機に陥れていた。フィッツは異変を察知し、バックの街でパイボルドの拠点を探しまわる。




面白かったです……!!

二巻での神呪字諸島、ビングタウンとの外交から一転、今回は国内での〈気〉をもつひとびと=古き血族との交渉が描かれます。
パイボルド一派は古き血族代表を自称してますが、実態はまったく異なることがあきらかになります。その過程でフィッツが見舞われる災難がこの巻の大きなウエイトを占めているわけですが。

これはむごい。

政治的な支障のために身動きのとれないまま、しばらく放置されることになってしまったフィッツは、事態を理解はしても見捨てられたと感じることを止められず、身体も心も病み疲れ、孤独なままに死を迎えようとします。

そのフィッツを救おうとするひとびとがそれぞれにあらわす動揺のさまが、不謹慎ですがたいそうおもしろい見物でした。
とくに気も狂わんばかりになった某師匠には、普段のつれない態度に隠されていた本心についニヤニヤ。

そこで思わぬ事態が起きてみんなが驚愕することになるのですが、これはネタバレ;

その後、フィッツにはいろいろなことが明かされて、自分の過去をことなる視点で眺めることができるようになります。

じわじわと心が熱くなるシーンの連続でした。

これまでフィッツは自分がどれだけひとに大切に思われているのかに無自覚だったのですね。

忌まわしい私生児という周囲の評価を単純に受け入れていたため、極端に自己評価が低い人間になっており、他人は自分を傷つけるからめったに心を開かない、ゆえに他人の気持ちにも鈍感という悪循環だったんだな。

”バックキープの秘密は秘密でもなんでもなく、たずねる勇気がもてずにそのままになってしまった事々にすぎないのだ。”という悟りの言葉が、深く染み入りました。

亡き人にはもうたずねられないけれど、フィッツがペイシェンスやブリッチと思い出話が出来るようになればいいのに。

いまは無理だけど、古き血族との交渉がうまくいっていつかはそんな日がくるようにと願わずにはいられません。この件ではデューティフル王子が頼もしそうです。さすが、ケトリッケンの息子ですね。

古き血族に伝わる原初の物語は、とても興味深いものでした。

今後の物語はついに道化の真実と、ドラゴンの真実に迫っていくものになりそうです。
白い人、白の予言者の伝説。
蒼白の女と道化の因縁。
フィッツに徴をつけたものの正体。
などなど。
族姫たちと蒼白の女のしがらみもまだわかりません。
神呪字諸島の文化風俗にも興味津々です。

知りたいことが依然てんこもり状態なので、はやく第三部が読みたい! とここで叫んでおきます。

それから、ビングタウンを舞台にしているというシリーズも読んでみたいですねー。
無邪気にフィッツを混乱の泥沼にたたき込んだジェクの背景を知りたいですww


「道化の使命」三部作の開幕編はこちら。
黄金の狩人1 (道化の使命) (創元推理文庫)
ロビン・ホブ 鍛治 靖子
4488562078

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