『白い月の丘で』

白い月の丘で (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
4048741640


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読了。

心の機微を丹念に描く少女むけ異世界歴史ロマン。


強国アインスに滅ぼされたトール国では、その武骨な支配のあいだに独自の豊かな歌舞音曲が禁止され、ひとびとは虐げられて生活を送っていた。かつて王の離宮のあったションヤンの丘で両親と暮らす靴屋の娘マーリィも、大好きな笛を奏でることが出来なくなっていた。そしてアインス支配から十年後、思いがけない人物が靴屋を訪れた。王とともに死んだとされていたトールの王子、ハジュンはひそかに逃れたシーハン公国で平民として暮らしていたのだ。師匠の依頼で故国を視察に来たハジュンを案内するマーリィは幼なじみのすっかり大人になった姿に心が揺れ動く。だが、彼女の笛に魅せられて稽古に通いつづける若者カリオルがアインス王の世継ぎと判明し、ハジュンはアインス抵抗勢力の旗頭へと祭りあげられてゆく。



これはよい胸キュン……。

『碧空の果てに』の作者さんの、おなじ物語世界の別の国を舞台にしたお話です。
時系列では続編といってもよいのではないかと思いますが、主要登場人物が異なります。
前作のヒロインについては物語の始めから何度も言及されますが、ごくさりげなくなので読んでなくても大丈夫、読んでいればニヤリとできる、というかんじ。

今回のヒロイン、マーリィは笛の名手ということなので、音楽が重要な役割を果たしています。
澄み渡った宵の丘の上で奏でられる笛と琴の響きが、心のうごきをあらわしたり、凝っていた心を解放したりするさまがなんとも素敵ですし、話の展開にもいろいろと関わってきて、このあたりたいそうわたし好みでした。

元王子と現王子のあいだでゆれうごく乙女心がきゅんきゅん。
そして元王子と現王子のこころもきゅんきゅんなのでした。

きゅんきゅんしながらもきちんと進んでいくお話は、目先の障害をとりのぞくだけではだめで、その先の自分たちが暮らす国をどのようにしたいのかをみすえて、そのために行動する必要性をうったえる、夢物語で終わらない地に足のついたところがすてきです。

けっこうドラマティックな展開なのに、テンション急上昇で激情がほとばしったりしないあたりがラノベとはちがう味わいなのかな。
たんたんとした文章が描き出す叙情的な情景を、しみじみとかみしめたくなるようなシーンが多いです。

昔ならこういう作品も少女向けラノベレーベルで出ただろうになあ、とか思ったりしました。
たしかに少し地味にみえるけど、突き抜けたり萌えだったりな余剰部分が少ないけど、こういうお話の需要はあると思うんだけどなー。

ちょっとクラシカルロマンに似てる……かな?
あちらよりも地味な気がするけど……w

というわけで、昔の少女小説読みにお勧めです。

わたしはソンボ一押し!
かれはたぶんこの作品の中での一番の萌え人物かとw
第二王子のエクサルも可愛いですー。

シリーズの一作目はこちら。
碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子 丹地 陽子
404873945X


こちらもたぶんおなじ物語世界のお話だとおもう。
紅に輝く河 (カドカワ銀のさじシリーズ)
濱野 京子
4041101018

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