『愚者のエンドロール』

愚者のエンドロール (角川文庫)
米澤 穂信 高野 音彦
404427102X


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読了。

青春ミステリシリーズの第二巻。


折木奉太郎は省エネをモットーとする神山高校一年生。文集作成のため夏休み中に集まった古典部の面々に、部長・千反田えるがとつぜん「試写会に行きませんか」と声をかけた。二年F組の有志による自主製作ビデオの試写会に知り合いから誘われたというのだ。断る理由を見つけられずに同行した奉太郎が見せられたのは、「ミステリー」。ところが殺人らしき事件が起きた途端に映像が終わってしまった。脚本家が倒れて撮影が中断しているというのだ。千反田の知り合い入須冬実の依頼は、この事件はどういう事件なのか、犯人はだれなのかを考えて欲しいということだった。断ろうとする奉太郎の機先を制して千反田が叫ぶ「気になります!」。かくして、古典部は映画の結末を求めて活動を開始したのだった。



面白かったです。

前巻の感想に書いたかどうか忘れましたが、わたしはミステリのトリックには全然興味の無い人です。
本格ミステリはだからあまり読みません。
このシリーズはミステリの入った青春小説という気持ちで読んでます。

主人公・折木奉太郎をめぐるひとびとがとても青春していて、興味深いのです。
かれらが、自分への期待と不安にゆれていて、それが対人関係にも重要な影響を及ぼしているのが、よくわかる。

自分は、何者かになれるかもしれない。
自分は、何者にもなれないかもしれない。

今回初登場の、女帝とあだ名される入須冬実さんは、奉太郎も抱えているそんな心の隙をついてきます。

前作で周囲に認められて期待されてることが、面倒くさいとポーズを保ちながらも、じつはちょっとばかり嬉しかったのだなあ、ホータローw

それと、千反田さんの推進力も馬鹿になりませんね。
ホータローは千反田さんが苦手です。千反田さんが「気になります!」といったことを捨て置くことができないのです。何故でしょうかw このへんの関係も実に楽しいです。

そして古典部のあとのふたり、福部くんと摩耶花ちゃんも、それぞれに存在感を持ってホータローに関わってきます。ふたりのホータローへの容赦ない突っ込みが笑えます。それぞれをタロットカードにたとえて言うあたりも面白かったし。摩耶花ちゃんが文集作りで紙質からフォントにまで気を配っているところ、漫研所属という属性が遺憾なく発揮されててニヤリでした。

あと、ホータロー姉の存在が影の演出者のように見え隠れするところがたまらない。
折木供恵は、さてどこにいたのでしょうかww

アニメでは、道半ばで病に倒れた脚本担当の本郷さんの親友・江波さんが、地味な召使いのような雰囲気を醸しだしてて異彩を放ってましたね。

入須先輩の行きつけなのかお茶屋さんが豪華だったなー。
自主製作映画のロケ地も、寂れていい感じを出してました。
終盤にかけて、ホータローが次第に真実に気づいていくあたりの演出もよかったです。

ほんとに、素敵なアニメ化だったなーとまたしても思うのでありました。

つづきはこちら。
クドリャフカの順番 (角川文庫)
米澤 穂信
4044271038


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