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『遠まわりする雛』

遠まわりする雛 (角川文庫)
米澤 穂信
4044271046


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読了。
端正な文章で叙情的に描かれる青春ミステリ。「古典部」シリーズの四冊目。


やるべきことなら手短に
大罪を犯す
正体見たり
心当たりのある者は
あきましておめでとう
手作りチョコレート事件
遠まわりする雛

あとがき



今までは一冊でひとつの事件を解決するものでしたが、今回は短編集。
高校一年生の四季おりおりの小さな謎を古典部四人の変化とともに描いた、とても青春してる作品群でした。

ミステリとしては小粒だけど、その分叙情的というか心理描写がこまやかでとても楽しかった。
ふたつの恋未満の関係と、ふたりの少年のモラトリアムが絡み合うさまがラノベの恋愛ものとは色合いが違ってて、なんとなく昔の少女小説というか、先日読んだばかりだからか昔の氷室冴子を思い出したり、しました。とくに「恋する女たち」かな。

「やるべきことなら手短に」
は、古典部で三人が出会ったばかりの頃のお話。
ホータローの千反田さんへの苦手意識と、でも彼女が嫌いなわけではないという、逃げ腰な態度が嗤えるお話。

「大罪を犯す」
は、古典部に摩耶花ちゃんが加わった後、四人はどんなときにどんなふうに怒るかというお話。
摩耶花ちゃんのホータロー評と、千反田さんに叱られたというホータローに笑った。
ホータローが千反田さんに好感を持ちはじめていることがうかがえます。

「正体見たり」
夏休み、まだ入須先輩から依頼が来る前に摩耶花ちゃんの親戚の民宿で合宿をするお話。
ホータローがいろいろとへたれなのが可愛いですw

「心当たりのあるものは」
たぶん文化祭後のお話。
古典部の部室でホータローと千反田さんがふたり。
ホータローの推理力を褒める千反田さんに自分は運がいいだけだと反論するホータローが、校内放送をテーマにそれを立証しようとするお話。

「あきましておめでとう」
初詣でのお話。
千反田さんの和服姿に見とれるホータローw
途中からホータローと千反田さんサイド、摩耶花ちゃんと里志くんサイドに分かれてます。
摩耶花ちゃんたちのホータロー評はいつも散々ですねえww

「手作りチョコレート事件」
この話がこの本のメインかな。
バレンタインで摩耶花ちゃんが里志くんのためにつくったチョコレートが盗まれるお話。
あるいは、試行錯誤の末にゆきついたポリシーが恋愛と並び立たないことに悩みつづける少年の話。
里志くんはとても真面目な子なんだなあと思いました。
摩耶花ちゃんのことを大切に思ってるんだなあ。

悩める親友の姿に自分も無関係ではないようだと気づきはじめるホータローに、読んでるわたしはフフフフww と笑うばかりです。

そして「遠まわりする雛」
生き雛の役を務める千反田さんに傘持ちとして随行することになったホータローが、しまった、これはよくない、とうろたえつづけるお話。

ホータローの省エネ主義には、お姉さんの存在が大きいのかなと推測します。
折木家には、母親の存在がすっぽりと抜け落ちてまして、言及されてるのは父親と姉だけ。
父親は学者のようですが、ホータローの話にちょくちょく出てくるのはお姉さんだけです。
そして、お姉さんはたいそう強烈な個性の持ち主で、なおかつ、なんでもよくできるらしい。
ホータローは「姉貴にはかなう気がしない」とまで言っています。

幼い頃から優秀なお姉さんの姿を目の当たりにしていたホータローは、お姉さんには何をしても勝てない、張り合うのは無駄である、自分が何もしなければお姉さんに負けないし傷つくこともない、というふうになってしまったのではないかなー。

ホータローは千反田さんと出会って、すこし自信を取り戻したのかもしれません。
プライドをくすぐられたともいえますね。

だがしかし、これから千反田さんと向かい合っていくためには、なにもしない無気力な自分のままではいられない、ということにうすうす気がついてもいる。
なにしろ千反田さんは何かをする自分を気にかけてくれているのですから。

そしていまにも発見しそうになってるのに、まだ目をそらそうとあがく様が、「これはよくない」という言葉に表れてるのだと思われて。

もう、笑えて笑えてしかたがありませんでした←笑うところか!w

千反田さんが自分の故郷と将来を語るシーンは、ホータローならずとも胸が熱くなりました。……これってもう○○じゃない?

というわけで、たいへんに楽しゅうございました。
隅々まで堪能して未だに読み返してはニヤニヤしております。

二年生になった四人はどうなっていくのかなあ。
わたし、気になります!

ふたりの距離の概算 (角川文庫)
米澤 穂信
4041003253

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