『月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ!』
月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ! (コバルト文庫)
氷室 冴子 今 市子

[Amazon]
読了。
2008年に亡くなった氷室冴子の単行本未収録作品に代表作を合わせた作品集。
収録作品は以下の通りです。
目玉はほぼ遺作となった「月の輝く夜に」でしょう。
平安朝後期を舞台に、しっとりとした雰囲気で男と女の様々な関係を描いた、深くしみじみとする完成度の高い短編でした。
読んでいて、作者さんもこんな思いをしていたのかなあなどと邪推してしまうほどに、こまやかな情感が漂うリアルなやりとりにどきどきしてしまいました。
少女小説というには若干大人の機微をえがいたお話で、一般文芸にゆかれてもきっと活躍されただろうと思うと残念でなりません。
「ざ・ちぇんじ!」はとりかへばやを下敷きにした平安朝ドタバタラブコメの代表作。
わたしの大好きなお話で、買った当初は何度も読み返していたものです。
おかげで数十年経ったいま読んでもかなりこまかいところまで覚えていて、よかったーと妙なところで安堵したりw
今回あらためてみて、文章のすばらしさに感嘆しました。
すばらしくテンポがよくてなのに過不足無く情報が入ってきて品があり、さらに機知に富んでいます。
文芸という点で高いレベルで書かれていて、この方がわたしの小説への窓口だったことをとても感謝しました。
「少女小説家を殺せ!」と「クララ白書番外編」はおまけ短編みたいなものだったようです。
暴力的なまでに奇想天外なファンタジーを書く火村彩子センセに寄生された女子大生の悲喜劇がとても笑えた「少女小説家は死なない!」。
その読みどころはいずれ劣らぬ奇人変人の少女小説家の卵たちの書く、キテレツ小説だといえましょうw
彩子センセのぶっとびファンタジーも変だけど、この短編で一番笑ったのは彩子センセのライバル・ルネ由子の描く支離滅裂なハーレクイン風ロマンスです。読んでるうちに笑いが止まらなくなってしばらく本に戻れなかった……。
由緒あるキリスト教系の女子校の寄宿舎を舞台に少女たちの日常をえがくドタバタコメディー「クララ白書」はわたしが初めてであった氷室冴子作品。
主役たちをあたたかく見守るあこがれのお姉さまたち、そのひとり影の生徒会長・虹子様視点で描かれるお姉さまたちの実態にこれまた何度も吹きだしてしまいました。
『マリア様がみてる』を読んだときに同じ女子校のお姉さまもので似てるかもと思ったのは、とんでもない間違いでございました。
「クララ白書」に「マリみて」の繊細さ・情感はありません。
代わりにどこまでも我が道を突き進むユニークでドライでわがままな女の子たちが、ページからはみ出しそうなエネルギーで元気に走り回ってました。
虹子様のさばけた策士ぶりも、清らなる椿姫の非常識っぷりも、濃子先輩の気弱な王子様っぷりもあいかわらずで、楽しかったです。これはまた読み返したくなってしまった。
なつかしさと、完成度の高さへの感嘆のうちに読み終えました。
まだまだお元気で書いていて欲しかったなあと、つくづく思う作家さんでした。
いまさらですけどご冥福をお祈りします。
氷室 冴子 今 市子

[Amazon]
読了。
2008年に亡くなった氷室冴子の単行本未収録作品に代表作を合わせた作品集。
収録作品は以下の通りです。
月の輝く夜に
ざ・ちぇんじ!
少女小説家を殺せ! 1
少女小説家を殺せ! 2
クララ白書 番外編 お姉さまたちの日々
目玉はほぼ遺作となった「月の輝く夜に」でしょう。
平安朝後期を舞台に、しっとりとした雰囲気で男と女の様々な関係を描いた、深くしみじみとする完成度の高い短編でした。
読んでいて、作者さんもこんな思いをしていたのかなあなどと邪推してしまうほどに、こまやかな情感が漂うリアルなやりとりにどきどきしてしまいました。
少女小説というには若干大人の機微をえがいたお話で、一般文芸にゆかれてもきっと活躍されただろうと思うと残念でなりません。
「ざ・ちぇんじ!」はとりかへばやを下敷きにした平安朝ドタバタラブコメの代表作。
わたしの大好きなお話で、買った当初は何度も読み返していたものです。
おかげで数十年経ったいま読んでもかなりこまかいところまで覚えていて、よかったーと妙なところで安堵したりw
今回あらためてみて、文章のすばらしさに感嘆しました。
すばらしくテンポがよくてなのに過不足無く情報が入ってきて品があり、さらに機知に富んでいます。
文芸という点で高いレベルで書かれていて、この方がわたしの小説への窓口だったことをとても感謝しました。
「少女小説家を殺せ!」と「クララ白書番外編」はおまけ短編みたいなものだったようです。
暴力的なまでに奇想天外なファンタジーを書く火村彩子センセに寄生された女子大生の悲喜劇がとても笑えた「少女小説家は死なない!」。
その読みどころはいずれ劣らぬ奇人変人の少女小説家の卵たちの書く、キテレツ小説だといえましょうw
彩子センセのぶっとびファンタジーも変だけど、この短編で一番笑ったのは彩子センセのライバル・ルネ由子の描く支離滅裂なハーレクイン風ロマンスです。読んでるうちに笑いが止まらなくなってしばらく本に戻れなかった……。
由緒あるキリスト教系の女子校の寄宿舎を舞台に少女たちの日常をえがくドタバタコメディー「クララ白書」はわたしが初めてであった氷室冴子作品。
主役たちをあたたかく見守るあこがれのお姉さまたち、そのひとり影の生徒会長・虹子様視点で描かれるお姉さまたちの実態にこれまた何度も吹きだしてしまいました。
『マリア様がみてる』を読んだときに同じ女子校のお姉さまもので似てるかもと思ったのは、とんでもない間違いでございました。
「クララ白書」に「マリみて」の繊細さ・情感はありません。
代わりにどこまでも我が道を突き進むユニークでドライでわがままな女の子たちが、ページからはみ出しそうなエネルギーで元気に走り回ってました。
虹子様のさばけた策士ぶりも、清らなる椿姫の非常識っぷりも、濃子先輩の気弱な王子様っぷりもあいかわらずで、楽しかったです。これはまた読み返したくなってしまった。
なつかしさと、完成度の高さへの感嘆のうちに読み終えました。
まだまだお元気で書いていて欲しかったなあと、つくづく思う作家さんでした。
いまさらですけどご冥福をお祈りします。
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