『風の王国 山の上の賢者』

風の王国 山の上の賢者 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086015390


[Amazon]

読了。

吐蕃王に嫁いだ唐の公主の、波乱万丈の人生を描く歴史ロマン。シリーズ二十三冊目。


吐蕃王ソンツェン・ガムポの妃となった翠蘭は、王太子ラセルの花嫁を選定した後ヤルルンから帰還した。ソンツェン・ガムポの病を隠しつつ次代への準備をつづける中枢部の緊張は高まるばかりだ。翠蘭は離れて暮らす娘イェルカとの距離を縮めるまもなく、前夫リジムの葬儀を行うための寺院建立の責任者に任命され、ラサへと赴くことになった。旅路の半ばではシャンシュンに赴任中の婚約者に嫁ぐ親友・朱瓔との別れが待っていた。



あいかわらずの面白さでした。
少女向けの歴史ロマンス小説として開幕したシリーズですが、もはや完璧に歴史大河小説になりましたね。

ラセルの花嫁選定がおわり、今回はまたあらたなエピソードの序章といった趣です。
話はゆるやかにはじまりますが、とても濃密。
状況説明、古参のひとびとと新たな登場人物との関係整理のなかに、吐蕃の文化が自然に理解されるような展開になっていて、異世界もの好きのわたしにはたいそう興味深かったです。

具体的にいうと、吐蕃の葬送文化ということになりますか。
共生の扱われかたとか、墓の建てられかたとか、なるほどー、でした。
このシリーズは舞台が書き割りでなく物語に重要な役割を果たしてくれるところが大好きです。

そして寺院建設に翠蘭が関わることになり、仏教に光が当たるようになりました。
ようやく今に伝わる文成公主の伝説のはじまりでしょうか。

唐から派遣された坊さんたちとの間がなかなかたいへんで、娘であるイェルカとの間もぎこちないままなのに翠蘭も苦労が絶えないですね。
実の娘との距離の取り方に苦労して、リジムとラセルの関係に思い当たったりする翠蘭の姿に、じんわりしてしまいました。
今になって理解できる夫の態度……泣けまする。

そのかわりといってはなんですが、ラセルの成長には目を見張るばかりです。
ラセルに助けられてるな、翠蘭。
ラセルの犬たちもしばらくぶりに大活躍しています。わーい!

サブタイトルの山の賢者ですが、ガルの言葉から想像していたのは世捨て人のようなお年寄りでしたが、ははは。

またしてもくせ者の登場ですなー。
つづきを読むのが楽しみです。

風の王国 王杖の守者 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)
毛利 志生子 増田 メグミ
4086016613

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する