『アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る 英国パラソル奇譚』

アレクシア女史、埃及(エジプト)で木乃伊(ミイラ)と踊る (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205485


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読了。

ヴィクトリア朝時代の地中海世界を舞台にした、強い女子が主人公のスチームパンクでロマンティックなドタバタコメディーファンタジー。シリーズ完結編。


娘プルーデンスが吸血鬼アケルダマ卿を後見人とすることになったアレクシアは、ロンドンのアケルダマ卿屋敷の隣人として夫の人狼・マコン卿とその支配下にある人狼団とともに暮らすことになった。〈反異界族〉と人狼の間に生まれた超異界族のプルーデンスはやんちゃがひどく、アケルダマ屋敷は毎日がにぎやかだ。その日もお風呂でひと騒ぎの後、友人アイヴィの劇団の公演に出かけたアレクシアとマコン卿は、吸血鬼ドローンとなったマダム・ルフォーからウールジー吸血鬼群の女王ナダスティ伯爵夫人からの伝言を受けとる。さらに夫妻の元に来訪したキングエア人狼団のアルファ・シドヒーグは、エジプトで音信不通となったベータを探して欲しいという。ウールジー群を訪問したアレクシアを待っていたのは、最高齢の吸血鬼女王マタカラの、アレクシアとプルーデンスのエジプトへの召喚命令だった。




アレクシア女史、エジプトへ行くの巻です。

やー、面白かった。
巻を追うごとにコメディー度が増してきてましたが、この巻はそれがまたいちだんとドタバタに。

それというのも、登場人物に幼児が三人も増えたおかげでハプニングが絶えなくなったのです。
アレクシアとマコン卿の娘、プルーデンスのやんちゃっぷりがかなりひどくて手に負えなくて、まだ言葉による意志疎通のできない彼女を取り押さえるのに大人たちが大騒ぎするのが楽しくてたまりません。

さらに、ふわふわボンネットののアイヴィはなんとふたごのお母さんに!
ふたごはアレクシアによるとおりこうさんで憎らしいほどということですが、それでも幼児なので要所要所でいろいろとやっちゃってくれてます。

個人的にはパーシーが絶妙のタイミングでげぼっとやるところがツボwww

しかも、プルーデンスの後見人となったアケルダマ卿が幼子を愛でる姿が見物、いや読み物です。
アケルダマ卿屋敷の伊達男達がそろって二歳の女の子にかしずいているなんて……だれが想像したでしょうか。

プルーデンスの特異な力の効果も相まって、もうもうもう、笑いが止まらない!

そして我らがアレクシアは母となっても相変わらずで、減らず口でマコン卿を言い負かし、プルーデンスを抱きかかえ、紅茶をたしなみながらパラソル保護領の秘密結社のたくらみを考案し、粗暴なロンドン人狼団ときてれつなタンステル劇団を指揮して八面六臂の大活躍です。

そうして大所帯をひきつれてアレクシアはエジプトへ。

阿鼻叫喚の船旅ののち、エジプトのアレキサンドリアに着いてからも波乱万丈はつづきますが、この異国情緒あふれる都市の描写も素敵でした。

同時進行のロンドンでの不穏な動きは、ビフィと意外な人物の急接近をもたらして、こちらも目が離せないw

後半の見どころは熱気球での旅でしょうか。
砂漠の遊牧民ならぬ気球遊牧民との空の旅にはわくわくしくしました。

って、ちょっと書きすぎたかしら;

とにかく、最後までドタバタながらもしっかりとした冒険小説になってて、もはやロマンス小説とは言えないながらも、これまでさんざん役立たずでこの巻でも醜態を晒しつづけてきた愛すべきお方の、すばらしく貴重な見せ場もあるし、完結編にふさわしく大きな喜怒哀楽に彩られたドラマティックなお話になってました!

ああ、なんだか支離滅裂です……;

タンステル劇団のキテレツ演劇に、ムシュー・トルーヴェの醜いパラソルにとツッコミネタは満載w

また、ビフィ視点の独白がいちいち気が利いてて、かれのアルファに対する親愛に満ちた思いにはくすくすと笑いが漏れました。

マダム・ルフォーの謎めいた存在感も、アレクシア妹のいけすかなさも、目立たず有能なベータであるライオール教授も、タイを完璧に結べるチャニング・チャニング少佐も、おどろくべき執事フルーテも健在。

アレクシアとマコン卿の絆はおたがいをやさしくつつんでいるような感じで素敵でした。

ほんとうにすみずみまで娯楽に満ちた、楽しいシリーズだったなあ。

訳者あとがきによると、本国ではマダム・ルフォーのシリーズが刊行されているそうです。
ぜひ日本語で読んでみたいですね。

シリーズ開幕編はこちら。
アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
ゲイル・キャリガー sime
4150205329

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