『五龍世界(ウーロンワールド) 霧廟に臥す龍』

五龍世界(WOOLONG WORLD)―霧廟に臥す龍
壁井 ユカコ
4591118053


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読了。

元気な女の子が突っ走って壁にぶち当たる、近代中華風異世界ファンタジー。シリーズ開幕編。


口減らしのために親に捨てられたユギ。彼女は高名で慈悲深いがとても柄の悪い趙道士にひきとられて育った。すでに三十絡みだった道士はユギが十五になってもまだ独り身で、日常のことをとりしきるのは弟子の青年道士・左慈とユギの仕事だ。その日、いつものように仕事先で金勘定に奮闘した帰り道、ふたりは西域からきたとおぼしき青年が子供を追いかけている現場に出くわした。見れば青年の左足には強力な蠱が憑いている。道士として助太刀に入ったふたりのおかげで青年は人攫い未遂の容疑で捕まった。追われていた五歳くらいの子供には手首に真呪いのかかった鉄の鐶がはめられていた。



ていねいな物語世界の描写が好ましく、少女の成長がきちんと描かれてるお話でした。
面白かった!

世界は中華風で、でも自転車などが出てくるのが異色です。
文化程度はだから近代くらいかなと推測しました。

いきなり子供が置き去りにされるので身構えてしまいますが、ヒロインを引き取って育てた高名な道士さまは、外見がちんぴら風で柄が悪くて、でも人がよさそうで安心します。

おかげでヒロインも大ざっぱに育ってて、気が強くてがむしゃらではねっかえりで、でもひそかに師匠を慕ってたりする、かわいい女の子になりました。

このふたりに師匠の弟子で、感情がないのではとおもわれる青年・左慈が、いわばひとつの家族として物語は始まります。

たぶん西洋をモデルにした西域人として出てくるのはキリスト教をモデルにした一神教の牧師のハンサムな青年。
周囲の女の子たちがみんな見とれますが、柄の悪さにドン引かれます。

そして、青年が追っていた子供……ユギが金づると歓喜した謎の美幼女?がユギの生活に大きな変化をもたらします。

道家の、なのかわたしは知らないけれど、道士の使う常軌を逸した技の数々がたくさん出てきて楽しいです。
そのうえで、西域の牧師の知識によりその限界をあきらかにする展開が面白いと思いました。
けれどその牧師も、妖術師と蔑みながらも道士の知識を欲しているのですよね。

さまざまな価値観が交錯し、併存して、影響しあうのも、舞台が近代ぽい理由かなと思ったり。

作者さんの作品らしいなと思ったのは、どうやらヒーローが過去的にも肉体的にも満身創痍であるらしいところです。
異教徒を見下し、子供を虐げ(ているようにみえ)、言葉遣いは品がなくて、態度も横柄で、取り柄は顔だけかと思いきや……という展開が、狙ってるなと思いつつもツボでしたw

ヒロインのとても庶民的で元気の良くてちゃっかりしてる自己中な性格も、試練にあって強くなろうとするけなげさに変化していく原動力に転化して、読みごたえがありました。

花街に住むユギの親友の碧耀のたおやかで妖しい存在感も好きでした。

しかし、わたしの一押しは左慈です……!←見抜かれてるかw

これからユギはどうしていくのかなあ
不幸なイルラック(ハンサムかつ品のない牧師)もどうなるのかなあ。
とても気になります。

とうにつづきは出ているのですが、いつになったら読めるかなあ;

五龍世界Ⅱ
壁井ユカコ
4591124487

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