『獣の奏者 外伝 刹那』

獣の奏者 外伝 刹那
上橋 菜穂子
4062164396


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読了。

異世界ファンタジー長編『獣の奏者』の外伝集。
中編ふたつに掌編ひとつが収録されています。


刹那
秘め事
初めての……

あとがき



「刹那」は、エリンとイアルの幕間編。
「秘め事」は、エリンの理解者でカザルム王獣保護場の最高責任者のエサル師の若き日の回想。
「初めての……」は、幼児にふりまわされる若夫婦のほほ笑ましいお話。

でした。

一番興味深かったのはエサル師の話で、貴族の娘として生まれながらもその社会的に求められる役割になじめず、葛藤をつづける若い娘の苦しさと、物語世界における教育制度やその実態が具体的に描かれていて、面白かったです。

のちにエリンを育てるジョウン、医師の息子ユアンとの気の置けない学友関係はたのしくて、気骨ある研究者ホクリ師の存在感も抜群で、フィールド調査のシーンは面白くてなりませんでした。

だからこそ、生まれてしまった想いにふりまわされるエサルのせつなさもしみました。

あとがきに「獣の奏者」は児童文学ではないと書かれていますが、たしかにこの作品集は子供には理解できないだろうなあと思います。

過去の出来事を距離を持って振り返るエサル師の話などとくにそう感じました。

エリンとイアルの表題作はちょっと中途半端ではありましたが。
この話を読んで、作者さんは長編の方が向いてるような気がしましたです。
題材が日常的になるとなんとなくキレが鈍るような。

とにかく、本編は間違いなく面白かったので、まだ読まれていない方はまず本編を読んでから、ということで。

本編を読まずにいきなりこの本を読もうとする人はいないと思いますがw

本編は全巻文庫化されています。いつのまに!
獣の奏者 1 闘蛇編 (講談社文庫)
上橋 菜穂子
4062764466

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