『五龍世界(ウーロンワールド)II 雲谷を駈ける龍』

五龍世界Ⅱ
壁井ユカコ
4591124487


[Amazon]

読了。

近代中国風で西洋風と日本風の異国も出てくる異世界ファンタジー。シリーズ第二巻。


龍によって生まれた五龍大陸。中域の五龍州兎雨県の妓女・碧耀は、“気”を見ることができる少女。都から来た役人の上官に身請けされることになり、相手が誰だか判らないまま、立派な牛・寧鳴号に乗って護衛と共に故郷を離れた。ところが、山岳地帯・新牌高地に入ったところで一行は賊に襲われた。親友の道士見習いユギに手渡されたお守りによって窮地を脱し、当座の目的地ラオ村までたどりついた碧耀は、極東の鉱山開発による龍脈の乱れによって苦しむ村人の姿を目の当たりにする。



二巻も面白かった!

一巻のヒロイン・ユギは色気なしの猪突猛進タイプでしたが、ユギの親友・碧耀はしっとりとした美貌をもち、受け身で考えすぎで身動きが取れなくなるタイプ。

その欠点を強烈に指摘されてさんざん罵倒されていろいろ苦労をして、自分のつくった枷から自由になろうと思い切るまでのお話です。

碧耀がお世話になる元妓女・老大嬢の個性が光り輝いてましたね。
老大嬢が碧耀の先生役なんだなーと思いました。たいそう厳しく愛想のない先生ですがw

碧耀の“気”をみる能力が人物造形にも展開にも十分に活かされてて、ユギとの関係もたんなる好意だけじゃない屈託のある心理描写があって、とても奥行きを感じました。

大きな物語としては、隣の島国・極東(ワ)のひとびとが登場し、第二次大戦前の満州みたいな状況がでてきます。
中域の反体制勢力・清和党の登場は清朝末期を思わせますし、碧耀が妓女なので、ちょっと『芙蓉千里』を思い出したりしましたが、だいぶ雰囲気は異なります。

基本シリアスですがディテールがコミカルなのです。

その最たるものが、一巻でたぶんヒーローで、たぶん二巻でもヒーローな、蠱に憑かれてる西域出身の残念ハンサム牧師イルラック。

とてもとても不幸な運命を背負ってるくせに、登場と同時にひとり漫才を始めるヒーローってw

しかも無自覚に女をたらしててねえ。やったことすら覚えてなくてねえ。事後に大いにうろたえたりしててねえ……あー面白かったww

他にも極東の軍人・武智大佐三十八歳とイルラックの会話や、符力の左慈の無感情なんだかちがうんだか微妙なところの碧耀への捨てぜりふやら、村の世話役一家やら、いろいろと楽しいところがありました。

中国的な世界観と西洋の科学的世界観が衝突しつつも、次第に共存していく様子が今回も興味深かったです。

とはいえ、それはまだイルラック個人のなかでしか起きてないようなんですけどね。

道案内で出てきたあのひとがじつはだったり、碧耀の落籍先がじつはだったりと、意外な展開が目白押しでしたが、それは読んでのお楽しみということで。

それより、2011年の夏に出たこの本のつづきがまだ出ていないことが問題ですね。

一巻がじきに文庫で出るようなので、大いに期待をしているところです。
つづき、つづきが読みたいですー。
イルラックと蛙さんのその後が知りたいですー。

シリーズ開幕編は文庫化されました。
(P[か]5-1)五龍世界 WOOLONG WORLD: I霧廟に臥す龍 (ポプラ文庫ピュアフル)
壁井 ユカコ
4591132153

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する